高倉健さんが死去—日本映画界最高のスター

文化

1960年代に「任侠映画」シリーズで東映の看板スターとなり、「幸福の黄色いハンカチ」「鉄道員(ぽっぽや)」など日本の映画史上に残る名作に主演した俳優、高倉健さんが11月10日に死去していたことが18日分かった。所属事務所の高倉プロモーションが明らかにした。悪性リンパ腫で東京都内の病院に入院していた。83歳。

福岡県出身。明治大学卒業後にスカウトされ、1955年に東映ニューフェイス第2期生として東映入社。56年に「電光空手打ち」で銀幕デビューした。1960年代半ばから70年代前半にかけ「日本侠客伝」「網走番外地」「昭和残侠伝」シリーズなど、主演した一連の“ヤクザ映画”が爆発的にヒット。アウトローの主人公が、不条理な仕打ちに耐えながらも復讐を果たす物語には、高度成長時代を支える庶民だけでなく、学生運動に身を投じる若者からも圧倒的な支持を得た。

1975年公開の米映画「ザ・ヤクザ」のシーン。左が高倉健さん(WARNER BROS/KOBAL/時事通信フォト)

その後はアクションもの、人間ドラマの分野へ演技の幅を広げ、日本映画の大作に次々と出演。「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)で第1回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したほか、「ブラック・レイン」(1989年、パラマウント)、「単騎、千里を走る」(2006年、日中合作)など海外の作品にも数多く出演した。 「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)ではモントリオール世界映画祭最優秀男優賞を受賞している。

武骨で口数は少ないが、情に厚い男を演じるのが真骨頂。日本映画界最高の男性スターで、人々は尊敬と親しみを込めて「健さん」と彼を呼んだ。

日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を4度受賞。1988年に紫綬褒章、2006年に文化功労者、2013年に文化勲章を受賞した。

タイトル写真:映画「あなたへ」に主演した際、東京都内でインタビューに応じる高倉健さん=2012年7月27日(読売新聞/アフロ)