中国メディアの現状と展望—共識ネットの周総裁が報告

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中国の大手情報ウエッブサイト「共識網」の周志興総裁は8日、東京都千代田区内幸町のフォーリンプレスセンターで「中国メディアの現状と展望」と題して講演し、この中で中国メディアに対する政府の規制が強化されており、メディア側も中国共産党・政府の方針に合わせていく方向に動いている」と語った。

同総裁は党と政府がメディア対する規制を強化している理由について「中国は(習近平政権の下で)新たな改革を進めようとしており、足並みをそろえなければならないためだ」と指摘。これまで党や政府と距離を置き、独自の言論を展開してきた広州の新聞『南方都市報』や『南方周末』なども「主流化」、即ち、政府の考えに同調する方向にきているとの見方を明らかにした。

同総裁はまた、その一方で、中国の大手メディアの論調が「いずれも同じような内容になってしまい、同じ声が多く、(読者や視聴者から)注目されなくなってきている」との負の側面を指摘。スポーツや娯楽、バラエティー番組以外、テレビをみる人が急速に少なくなっていると述べた。

このほか、インターネットなどを利用した中国のニューメディアの現状について、周総裁は「ハードルが低く、一人でも立ち上げることができることから、多くの参入がある」としながらも、ビジネスとして成功することが難しく、過度に猥褻(わいせつ)な内容もあったりし、当局との関係をうまくはかれず、出来ては消えるといった状況が続いていると報告した。

今回の講演会は笹川平和財団と笹川日中友好基金が主催したもので、日中の有識者が草の根レベルで接触。それぞれのありのままの姿を紹介し、お互いに理解を深め合い、日中の友好を促進するのが狙い。講演会では、周総裁のほか、中国社会科学院の馬勇研究員、清華大学の許章潤教授、秦暉教授、中国人民大学の毛振華教授、王星宇准教授らが中国の政治や経済なとについて報告した。

タイトル写真:「共識網」の周志興総裁

(12月9日 加筆)

笹川平和財団