10知事選、与党支援の現職が全勝

政治・外交

北海道・大分も波乱なし、投票率は低調

統一地方選前半戦の投開票が12日に行われた。実施されたのは10カ所の道県知事選、5つの政令市長選、41の道府県議選、17の政令市議選。

自民と民主の「対決型」となった北海道知事選、大分県知事選では、いずれも自民系の現職が勝利。知事選すべてで、与党が支持する現職知事が再選を果たした。新人5人が立候補した札幌市長選は民主、維新推薦の新人が勝利した。

5月の「大阪都構想」の是非を問う住民投票を前に注目された大阪府議選、大阪市議選は、同構想を推進する大阪維新の会がいずれも第1党の座を守ったが、目標としていた府議会の過半数には及ばなかった。民主党は大阪市議選で、立候補した11人が全員落選。凋落した党勢がいまだ回復に至らない状況であることを示す結果となった。

投票率は全般的に低調で、自民・民主が事実上現職知事に相乗りした神奈川、福井、徳島、福岡などでは、知事選で50%を割り込んだ。道府県議選でも、多くで過去最低を記録。最も低かったのは千葉県の37.01%だった。

再選知事のほとんどが官僚出身

再選された知事10人の経歴を見ると、うち9人までが元中央官僚。例外はテレビキャスターから政治の世界に転じた、黒岩祐治・神奈川県知事(60)だけだ。

47都道府県の知事のうち、官僚出身者は実に29人。全体の6割以上に及ぶ。中には経産官僚から転身してベンチャー企業を立ち上げ、後に地方政界に転じた湯崎英彦・広島県知事のような「例外」もあるが、多くは官界以外のキャリアがないまま立候補、当選している。

多くの場合、与党・自民党が地元出身者の中央省庁幹部を候補者に「リクルート」。有権者には「中央との強いパイプがある」ことをアピールする。

現在の47都道府県知事のうち、官僚出身は29人。総務(旧自治)省が14人と半数を占め、次いで経済産業(旧通産)省8人、財務(旧大蔵)省3人、農林水産省2人、国土交通(旧運輸)省と外務省各1人となっている。

多選で最多の6期目を務める橋本昌・茨城県知事(69)と谷本正憲・石川県知事(69)の2人は、いずれも旧自治省のOBだ。

北海道知事4選は史上初

北海道知事選は4期目を目指す高橋はるみ氏(61)=無現、自民道連推薦=が、脱原発を訴えるフリーキャスターの佐藤のりゆき氏(65)=無新、民主道連など支援=らを下した。同知事選の4選は史上初。

だが、札幌市長選では民主、維新の推薦を受けた秋元克広・前副市長(59)が、元総務省職員の本間奈々氏(45)=無新、自民推薦=らを下し、これまで民主系だった市政の構図を維持した。秋元氏には、保守系の一部地元財界人も支援に回った。

大分県知事選は4選を目指す広瀬勝貞氏(72)=自民県連、公明県本部推薦=と、の釘宮磐・前大分市長(67)=無新=の事実上の一騎打ち。民主は釘宮氏を実質支援し、混戦模様との見方もあったが、ふたを開けてみれば広瀬氏が手堅く再選を果たした。

バナー写真:北海道知事選で当選確実の報道を受け、選挙スタッフから花束を受け取り、笑顔を見せる高橋はるみ氏(中央)=2015年4月12日夜、札幌市中央区(時事)

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