東京は世界一住みやすい都市? 英誌のランキングで最高評価

社会

東京は「巨大都市なのに治安が良く、静か」

東京は住みやすさで、京都は観光でそれぞれ世界一の都市――。日本人にとってはちょっと驚くような高評価のランキングが最近、外国で相次いで発表された。

英国の情報誌「Monocle(モノクル)」は2015年6月、世界の主要都市における「生活の質」に関する年次調査の結果を発表、9年前の調査開始以来、東京が初めてトップに立った(前年は2位)。「驚くべき巨大都市であるにもかかわらず、治安が良く、静かだ」と指摘し、東京が「世界で最も安全な都市である」と高く評価した。さらに、東京が世界の127都市と航空路、航路で直接つながっている点をメリットに挙げたほか、自転車通勤者が多い(同誌によると19.5 %)など、「エコ・フレンドリー(環境にやさしい)」な側面も評価している。

同誌はランク付けの際、犯罪率や医療インフラ、教育、自然環境、公共図書館の数などを評価基準に設定。東京は多くの項目で高い評価を得た。各種の統計だけでなく、実際に調査員を派遣して「文化へのコミットメント」やバーの閉店時間、手軽なおいしい昼食の値段、海や山への近接度など「無形の(intangible)」住みやすさの度合いもチェック。「東京では7.5ユーロ(1000円程度)でおいしい昼食をとることが可能だ」としている。ここ数年は為替レートが円安・欧州通貨高に振れていることもあり、ロンドンやパリなど欧州の大都市ではランチに1000円程度ではコンビニやカフェでサンドイッチを注文できるのがせいぜいという状況となっている。

2位はウィーン(同6位)、3位はベルリン(同14位)、5位はシドニー(同11位)。東京以外の都市で25位以内に入ったのは福岡(12位)と京都(14位)。欧州の都市が15都市と圧倒的に多い。米国はポートランドのみで、中南米、中東、アフリカからは1都市も入らなかった。ニューヨーク、ロンドンといった大都市も、25位までに名前が挙がっていない。

「モノクル」の世界の都市住みやすさランキング(2015年6月)

1 東京 14 京都
2 ウィーン 15 パリ
3 ベルリン 16 マドリード
4 メルボルン 17 オークランド(ニュージーランド)
5 シドニー 18 リスボン
6 ストックホルム 19 香港
7 バンクーバー 20 アムステルダム
8 ヘルシンキ 21 ハンブルク
9 ミュンヘン 22 ジュネーブ
10 チューリヒ 23 オスロ
11 コペンハーゲン 24 バルセロナ
12 福岡 25 ポートランド
13 シンガポール

米誌ランキングでは京都が「人気観光地」2年連続トップに

一方、米国の大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」が7月に発表した読者投票による世界の人気観光都市トップ10 ランキングでは、京都が2年連続第1位となった。同誌は北米の富裕層が主な読者。千数百年にわたる歴史を持つ寺社仏閣などの豊富な観光資源、精進料理をはじめとする伝統的な食文化などの魅力が、旅行先として人気を集めたとみられる。

京都を訪れる外国人は増加傾向にあり、宿泊外国人観光客は2013年には113万人と10年前から倍増し、初めて100万人を超えた。京都市は、外国人向けにWi-Fiへの無料接続サービス(1回当たり最大3時間)をバス停や地下鉄の駅、コンビニ、公共施設など649カ所で2012年から始めたほか、旅館に宿泊する外国人客向けに24時間の多言語によるコール・センターのサービスを立ち上げるなど、受け入れ態勢を強化している。

2位は米国のチャールストン、3位はアンコールワット観光の拠点であるカンボジアのシエムレアプ。以下フィレンツェ、ローマがベスト5に入った。ランキングは、興味深い観光スポット、文化、食事、地元の人々など6項目について読者の評価を集計して決めた。

京都市の門川大作市長は東京での記者会見で、「京都が(2年連続で)トップになったことは、日本全体が高評価を得ていることを示すものだ」と語った。日本への外国人観光客は2014年、円安や外国人向けの免税枠拡大なども追い風となり、過去最高の約1300万人に。15年はさらに増える勢いだ。

東京と京都。日本を代表する両都市への世界的評価が高まってきたことは、日本全体の魅力をアピールする好機会の到来といえよう。

「トラベル∔レジャー」2015年7月に発表した世界の観光都市ベスト10

1 京都
2 チャールストン
3 シエムレアプ
4 フィレンツェ
5 ローマ
6 バンコク
7 クラクフ(ポーランド)
8 バルセロナ
9 ケープタウン
10 エルサレム

 

文・村上 直久(編集部)

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