天皇陛下「生前退位」の意向か

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皇室典範には退位の規定なし

日本の国内メディアは7月13日、天皇陛下が天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」を希望していると一斉に伝えた。宮内庁など政府関係者からの情報として、陛下が「数年以内の譲位を望まれ」ているなどと報じている。

皇室制度を定めた「皇室典範」には天皇退位の規定はなく、生前退位が実現するためには皇室典範改正や特別立法が必要となる。国内メディアはこれについて、「政府は既に天皇陛下の意向を尊重し、必要な法整備についての検討を首相官邸で始めている」(毎日新聞)と伝えている。

一方、朝日新聞は複数の宮内庁幹部が「宮内庁として一切(具体的な手順について)検討していない。天皇陛下のご意向と、実現できるかは別の話だ」と語ったと報道。「生前退位に慎重姿勢を示している皇室関係者もいる」とも伝え、法改正に向けたハードルは高いと指摘した。

82歳の高齢。数年前から公務の負担軽減も

陛下は現在82歳。2012年に心臓の冠動脈バイパス手術を受けたが、現在も憲法に規定された国事行為や国内外への訪問など、多くの公務を続けている。宮内庁は数年前から一部式典で天皇陛下の「お言葉」をなくし、外国賓客との面会を絞り込むなど負担軽減を進めてきた。

憲法と皇室典範では、天皇が健康上の理由で執務を行えない場合には皇太子や皇后などの皇族が「摂政」となり、天皇の執務を代行できるとしている。大正天皇は晩年病気がちになり、皇太子だった昭和天皇が摂政についている。

この点について公共放送NHKは「天皇陛下は、『憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ』と考え、今後、年を重ねていく中で、大きく公務を減らしたり代役を立てたりして天皇の位にとどまることは望まれていない」と報じている。

生前退位が実現した場合、その時点で「平成」の年号は変わることになる。

バナー写真:パラオ訪問を前に、空港の貴賓室でお言葉を述べられる天皇陛下と皇后さま=2015年4月8日、東京・羽田空港(時事、代表撮影)

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