大天井岳

文化

正月4日。つまみをいくつかならべ、新聞をよみながらビールを飲みはじめていた。ひとよりはやい6時からのいつもの夕飯。テレビのニュースは流れているが、聞くだけ。と、そのテレビから「長野県の北アルプスのダイテンジョウダケで、登山をしていた男女2人が、悪天候のため身動きが取れなくなっている・・・」。ぽつり独り言、「オテンショウだろうが」そのまま飲みつづける。「7時のニュースでは訂正するだろう」と、これは黙言。(よくありそうなオヤジの光景)

7時のニュースも「ダイテンジョウダケ」。また独り言、「NHKも突っ張るなぁ」。夜中、そう言うからにはなにか根拠があるのだろうと思い直す。5日朝、調べてみる。なるほどダイテンジョウダケとも言う、とある。「まあしかし、ふつうはオテンショウだよなぁ」負け惜しみをつぶやいて、この件とりあえずよしとした。

むずかしい漢字の読み方

ことしも多かった冬山の遭難、というほうに話をもっていこうとしているのではない。放送アナウンサーのよくある、読み違え・言い間違いの話でもない(それならお互いさまだ)。

日本語のなかの漢字をどう読むかは日本人でもむずかしい。「大地震」は「おおじしん」だし、「大震災」は「だいしんさい」、「大事」は「おおごと」もあるし「だいじ」もある。しかもこの日本語、ことばが先にあって後から漢字があてられたものが実に多いとくる。

2年目を迎えた、この海外発信のためのメディア『nippon.com』、新年にあたり、編集委員のひとりとして、このややこしい日本語を各国語にみごとに移し替える作業にひごろ腐心しておられるわが優秀な翻訳チームに感謝をもうしあげたい。

ところで、「おてんしょう」の由来だが、「御天上」「御天所」さらには「御天守」諸説あるらしい。もちろん「大きな天井」だってじゅうぶんありうること。それにしても、正月4日の夕方から5日の朝まで、約12時間のひとり相撲でありました。

(2013年1月5日 記)