東京ゲームショウレポート—Xboxの苦戦に見る日本のゲーム市場

ジェイソン・コスクリー【Profile】

[2014.12.05] 他の言語で読む : ENGLISH | ESPAÑOL |

このほど日本で発売されたマイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox One」への反応が、どうにも芳しくない。そもそも、日本市場における同社の足場は、2005年12月に発売された旧型機「Xbox 360」の販売不振により、すでに揺らいでいた。(それでも販売台数は初代モデル「Xbox」よりはるかにマシだったのだが)

加えて、2013年5月にXbox Oneの発売を発表した時に、日本での販売予定について触れなかったことも災いした。結局、日本で発売されたのは、米国や欧州よりおよそ10カ月遅れの2014年9月4日。東京ゲームショウ(TGS)開催のちょうど2週間前というタイミングだった。

東京ゲームショウでの強い存在感

9月18日から21日までの4日間、千葉の幕張メッセで開催されたTGSでは、マイクロソフトは広大な展示スペースを確保し、数多くのタイトルを出展した。グリーンのライトで照らされたXboxブースは連日盛況で、どのタイトルも試遊するには並んで待たなければならないほどだった。来場者数はソニーのブースには及ばなかったものの、マイクロソフトにとっては心強い結果だったに違いない。

出展タイトルはおよそ30点。アクションゲーム「Sunset Overdrive」、Xbox One向けによみがえった人気格闘ゲーム「Killer Instinct」、画像の美しさが売りのレースゲーム「Forza Horizon 2」など、充実したラインナップだった。

臨場感あふれるレースを楽しめる「Forza Horizon 2」。

日本市場で苦戦中のXbox Oneだが、TGSへの出展を機に、日本のユーザーを振り向かせようという同社の努力が報われる可能性は十分にある。Xboxシリーズを担当する日本マイクロソフトの磯貝直之氏もTGSの会場で、「これまでの販売台数について言及するつもりはない。購入してくれたユーザーに満足してもらい、製品のさらなる向上を目指すだけだ」と話している。

Xboxは日本で成功するのか?

とはいえ、同社の視界が開けているとは言い難い。日本のゲーム市場では長年、任天堂とソニーという2大国内メーカーが圧倒的な優位に立ってきた。日本でビジネスを成功させるには知名度や信頼性の高さが大いに物を言うが、ゲーム業界には、なじみのあるメーカーを好むカジュアルゲーマーやアマチュアゲーマーが多い。その結果、とりわけ中小のデベロッパーは、2大メーカーのプラットフォームに対応するゲームソフトの開発に注力するという構図になっているのだ。

格闘ゲーム「Killer Instinct」。マイクロソフトの救世主となるのだろうか。

米国では初代Xboxは順調な売れ行きを見せ、続くXbox 360も爆発的なヒットを記録したが、その成功体験は、米国製ゲーム機への注目度が低い日本市場では何の役にも立っていない。マイクロソフトとしては、TGS後に何としてもXbox Oneの販売数を伸ばし、不振から抜け出したいところだろう。

エンターテインメント情報サイト「Kotaku」の9月25日付の記事によれば、日本での発売開始から4日間の販売台数は2万5674台。ところが2週目になると3015台と落ち込み、3週目になるとわずか1314台だったという。発売直後の売れ行きが比較的好調だったとはいえ、2005年に発売されたXbox 360が発売後2日間で6万台以上を売り上げたのに比べたら、かなり見劣りする数字だ。

これを見る限り、日本市場での先行きは不透明だと言わざるを得ない。TGSではブースに大勢の客が集まっていたが、それがXbox Oneの売り上げにどれだけつながるかは不明だ。

マイクロソフトが最近、中国市場に参入したことも懸念材料の一つだ。中国で初めて家庭用ゲーム機を発売した外国企業であることから、現在、市場は事実上マイクロソフトの独占状態だ。このまま中国で成功を収めたら、日本市場のてこ入れがおろそかにされることになりかねない。

次のトレンドはバーチャルリアリティー?

TGSに話を戻せば、日本で発売されたばかりのXbox Oneを除けば、今回、目新しいハードウエアはほとんど見当たらなかった。例外はバーチャルリアリティー(VR)ヘッドセット。プレーヤーの目と耳を覆う形の装置で、装着するとゲームスタイルに応じてリアルな体験が楽しめるというものだ。TGSでは、Oculus VRの「Oculus Rift(オキュラスリフト)」と、ソニーの「Project Morpheus(プロジェクトモーフィアス)」が、それぞれ初出展された。今のところVR技術をけん引しているのはOculus VRとソニーの2社だが、サムスンも試遊可能な製品を展示するなど、負けていなかった。

ゲーム機の販売競争が続く中、新たなトレンドとして浮上しつつあるVRヘッドセット。価格や普及度の点ではゲーム機に遠く及ばないが、それはそれ。TGSは、将来ヒットする(と期待される)分野でブランド認知度を高めておこうともくろむ企業同士の戦いの最前線なのだ。

(2014年10月2日 記、原文英語)

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  • [2014.12.05]

2007年からジャパンタイムズのスポーツライター。アラバマ大学バーミンガム校卒業後、ジョージア州でマリエッタデイリージャーナル紙(Marietta Daily Journal)に寄稿。現在は日本のプロ野球を中心にスポーツ関連の記事を執筆している。ツイッター名は@jcoskrey。ジャパンタイムズのコラムはこちら

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