48年ぶりのメダル狙う日本のサッカー・リオ五輪代表

矢内 由美子【Profile】

[2016.08.03] 他の言語で読む : ENGLISH | ESPAÑOL |

「ディフェンスから構築してきた」チーム

今年1月にカタールで開催されたサッカーの「U-23アジア選手権兼リオデジャネイロ五輪アジア最終予選」で優勝し、6大会連続10度目の五輪舞台となるリオ五輪切符を獲得したU-23日本代表。アジアチャンピオンとして出るリオ五輪で、メキシコ五輪以来48年ぶりのメダルを狙う通称“手倉森ジャパン”とは、どのようなチームか。

2014年1月からリオ五輪を目指すチームを率いて2年半が過ぎた。手倉森誠(てぐらもり・まこと)監督が選んだメンバー18人は国際サッカー連盟(FIFA)の定めたルールに従い、23歳以下の選手15人にオーバーエイジとしてFW興梠慎三(浦和)、DF塩谷司(広島)、DF藤春廣輝(G大阪)の3人が加わった陣容だ。

所属リーグの内訳はJリーグが17人で、欧州組はFW南野拓実(オーストリア・ザルツブルク)1人。当初はFW久保裕也(スイス・ヤングボーイズ)が代表に選ばれていたが、クラブから出場の許諾が得られず、大会直前にバックアップメンバーのFW鈴木武蔵(新潟)が昇格した。

また、ポジション別の内訳を見ると、GK2人、DF6人、MF7人、FW3人となっている。メンバー構成の特徴が浮かび上がるのは、MF登録の選手のポジションの内訳を細かく見たとき。7人はボランチ4人、サイドハーフ3人となっており、守備に重点を置いた人数分布になっていることが分かる。

これは、リオ五輪で予想される試合展開から導き出された配分だ。手倉森監督は常々「われわれはディフェンスから構築してきたチームであって、派手に勝てるチームではない」と話してきたように、実際にアジアでも楽に勝てる試合は数少なく、14年アジア大会をはじめ、ベスト8で負けてしまうことも多かった。

リオ五輪最終予選では優勝という最高の結果を残して勝負強さを見せたが、五輪本番をシミュレーションすれば、耐える時間が長くなると予想するのは当然だった。

一方、少ない人数で構成される攻撃陣の特徴は、小柄でスピードがあることだ。FWとMFは全員が身長180センチメートル以下。指揮官が日本人の特性を生かした選手選びをしたことが分かる。

コンセプトは「全員守備・全員攻撃」

手倉森ジャパンの基本システムは4-4-2だ。

チームの立ち上げ当初は中盤を厚くする4-2-3-1や4-1-4-1で戦うこともあった。しかし、ポゼッションにこだわることなく、「全員守備・全員攻撃」というコンセプトをうたい、縦への配球や時間を掛けずにシュートまで持っていくということに重きを置くスタイルがチーム内に浸透していくと、2トップにボールを収める、あるいは2トップが相手DFの裏を狙うという意図を共有しながらの攻めが増えた。

この背景には、ポゼッションサッカーの極みであるスペインが頂点に立った10年南アフリカW杯から、14年ブラジルW杯ではドイツ型のカウンター攻撃が世界を席巻するように移り変わったとするFIFA技術研究グループの報告書(14年7月発表)の存在がある。

リオデジャネイロ五輪サッカー男子日本代表のメンバー発表を行う手倉森誠監督=2016年7月1日、東京都文京区のJFAハウス(時事)

ブラジルW杯が終わってから約1カ月が経過した14年8月の会見で、手倉森監督はこのように話していた。

「4年前の南アフリカW杯でスペインが優勝してからは、世界でポゼッション型サッカーがトレンドになっていた。しかし、U-21日本代表(現リオ五輪代表)の監督に就任したとき、ブラジルW杯では何がスタンダードになるのかと考え、チームコンセプトとして『全員守備・全員攻撃』という考えを見つけていた」

14年1月からすでに指揮を執っていた手倉森監督はトレンドを先読みする形で、ポゼッションサッカーに代わるコンセプトを打ち出していたのだった。

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  • [2016.08.03]

スポーツライター。1966年6月23日、北海道生まれ。北海道大学卒業後にスポーツニッポン新聞社に入社し、テニス、五輪、サッカーなどを担当。2006年に退社、以後フリーランス。著作は『Jリーグ15年の物語 カズ&ゴンたちの時代』(講談社/2009)、『ザック・ジャパンの流儀』(学研新書/2011)など。

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