シリーズ シリーズレポート「老いる日本、あとを追う世界」
少子高齢化に立ち向かう地方商店街の活性化への挑戦

河村 啓太郎【Profile】

[2016.11.15] 他の言語で読む : ENGLISH |

日本では、商店主の高齢化や後継者不足などで閉店を余儀なくされる店舗も多く、「シャッター商店街」が増加している。山口県周南市は、Iターン、Uターンの若者の新規出店を支援、若い世代を取り込みながらコミュニティを再構築し、商店街の活性化に成功した。

商店街衰退の本当の原因

2040年までには、日本全国で約1800ある自治体のうち、約半数が少子高齢化や人口減によって消滅すると予測されている。かつて工業都市として栄えた山口県周南市は、工場の自動化が進んで従業者数が減少。さらに高齢化も進行し、かつてにぎわった繁華街が「シャッター通り」に変わりつつある。

中小企業庁が全国の約8000の商店街を対象に行った調査では、「自分の商店街は繁栄している」と回答したのはわずか1%だけだった。この1%の実態は「郊外型ショッピングモール」である。

商店街が衰退した主な要因は「ショッピングモールが発展して客を奪われた」こととされてきた。大型駐車場を備え整備された大規模のショッピングモールは確かに便利であり、競争力もある。

私は、ショッピングモールは商店街衰退の「要因」であっても「原因」ではない、と考えてきた。衰退の原因は、商店主が商売を継続・発展させていくことを諦めているからだ。意欲を失った商店主が集まっても街に魅力が出るはずはない。

「後継者がいない」ことも大きな原因だ。既存商店主の後継者のほとんどは都心部もしくは地方の一流企業に勤めており、商店の経営に戻って人はかぎられている。商店には新しい投資や新たなサービスの導入も少なく、時代から取り残されている。

買い物のための環境整備という来訪者の要望に応える

私が代表をつとめる「株式会社まちあい徳山」(山口県周南市、人口15万人)は、2010年に商店街を活性化するために市・商工会議所・商店街の出資によって設立された。今年5月、中小企業庁が実施する「はばたく商店街30選」に選ばれた。これは「衰退した商店街」を「独自の手法」で活性化させるのに成功したことが理由だ。

当初は、「なんとか商店主のやる気を引き出そう」と必死になり、若手を巻き込んで毎月のようにイベントを打った。しかし、いくら頑張っても買い物客は一向に増えない。商店主からは、集まっても店の売り上げにはつながらない、という反対の声が上がった。

もう一度原点に立ち返り、来訪者にアンケート調査をして何が求められているかを探った。その結果、浮かび上がってきたのは、「商店街には不足している店や機能がたくさんあり、ベンチやトイレといった買い物のための環境整備が不足している」という点だった。

コミュニティの再構築でビジネス面も復活

そこで私たちは、創業から出店、その後の経営に至るまでの全プロセスを支援する方針を打ち出した。実現には、まさに地道な努力を積み重ねる必要があった。たとえば、Iターンで創業を考えている人に対しては、子どもの入学がスムーズにいくように友だちを紹介し、各種行政手続きを手伝い、無事に雑貨店をオープンしてもらった。

また老舗を継いでもらうために、上京して息子さんの説得もした。残念ながら帰郷には至らなかったが、その後の空き店舗にはセカンドライフを地元で送りたいという63歳の方が開業して繁盛店になった。

私たちは愚直に、こうした「人と人のつながり=コミュニティ」をもう一度構築していく作業に取り組み、「この商店街でビジネスを大きくしていきたい」という人の輪を少しずつ広げてきた。結果として、2011年からの5年間で40を超える店舗の出店を支援し、ビジネスの存続や拡大に寄与できた。

新しいプレーヤーたちが前向きにビジネスに取り組むことで人通りも買い物客の数も着実に増えている。私たちはこれからも「商店街の地域コミュニティの担い手」として、地道な支援を続けていくつもりだ。

プロジェクトの概要について

笹川平和財団 新領域開拓基金「アジアにおける少子高齢化」事業

バナー写真=にぎわいを取り戻しつつある周南市の商店街(写真は著者提供)

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  • [2016.11.15]

2002年、慶応大学商学部卒業後、株式会社しまむらに入社。千葉県の店舗での勤務を経て、翌年、福岡県で店長を務める。2005年より、アミューズメント・フード・プランニング事業を営む家業の株式会社オーパスに入社。新卒採用の仕事からスタートし、現在は取締役・企画部長として飲食店事業の統括を行う。2010年、周南市、徳山商工会議所、商店街から出資を受け、まちづくり会社「株式会社まちあい徳山」を設立、社長に就任。

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