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訪日外国人旅行者、初の1000万人突破

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日本を訪れた外国人旅行者やビジネスマンの数が2013年、初めて1000万人を達成した。日本政府観光局(JNTO)によると、昨年の訪日外国人旅行者数は12月20日までの累計で1002万人と大台を突破した。「観光立国」をめざす政府は、2003年以降、「訪日外国人旅行者1000万人」を目標にビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)などに取り組んできたが、訪日外国人数はこの10年でほぼ倍増した。

観光ビザ緩和、LCC、円安などが追い風に

訪日外国人客増加の背景には、中国人向けや東南アジア諸国連合(ASEAN)向け観光ビザの発給要件緩和のほか、入国管理手続きの改善など受け入れ体制の整備、格安航空会社(LCC)の就航拡大・増便などがある。都内の主要ターミナルでは、英語、中国語、ハングル語の案内表示を充実させ、外国人客への「おもてなし」体制が拡充しつつある。また、2013年はアベノミクス効果で急速な円安が進んだことも追い風になり、訪日外国人にとってツアー料金や日本での購入商品に割安感が生じている。

訪日客の6割は中国語圏、ハングル圏

訪日外国人は2003年に521万人だったが、その後、増加傾向を見せた。リーマンショック後の2009年に大きく落ち込んだが、2012年以降再び増加基調にあり、2013年に1000万人を突破した。1000万人の訪日外国人がもたらす経済効果は、国内総生産(GDP)で見た個人消費を1%程度押し上げる、との試算もある。国内人口が減少していく中で、外国人観光客の誘致をめざすインバウンドツーリズム政策は、景気へのプラス効果や地方経済の活性化にもつながる手段として期待されている。

訪日外国人の国別内訳は、1~11月(総数949万人)で見ると、韓国が全体の24%、台湾が13%、中国が13%、米国が8%、香港7%、タイ4%で、その他が22%となっている。領土問題や歴史認識問題などで日中韓の関係が冷え込んでいる中でも、訪日外国人の約60%がハングルおよび中国語圏からである点は見逃せない。

世界観光順位では日本はまだ“途上国”

しかし、世界全体の中で訪日外国人旅行者数を見ると、日本はまだ「観光先進国」の仲間入りにはほど遠い。国連の専門機関である世界観光機関がまとめた「世界観光ランキング」(2012年)では、世界最大の観光大国・フランスへの外国人旅行者数は8301万人と群を抜いている。2位は米国の6696万人、3位は中国の5772万人、4位がスペインの5770万人、5位がイタリアの4636万人…などの順。日本は2012年時点で836万人と33位で、フランスの10分の1程度にすぎない。

1000万人を達成した2013年の日本の世界順位は、30位以内に入る可能性がある。さらに昨年9月には2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催が決定し、再び世界の目が日本に向かい始めている。これを新たな追い風に、政府は2020年までに訪日外国人旅行者数を「2000万人」とする目標を掲げている。その実現に向けて、外国人客のための環境整備や国際会議の誘致、日本の魅力の対外発信強化など、多方面での一層のプロモーション活動(誘客努力)が求められる。

 

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