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女性の活躍推進・ウーマノミクスで日本が変わる?
[2014.07.11] 他の言語で読む : ENGLISH | ESPAÑOL | العربية | Русский |

安倍政権はアベノミクスの成長戦略で「女性の活躍推進」を柱の一つに掲げている。女性の活躍は日本でも年々広がっているが、諸外国に比べ女性の就業率はまだ低く、女性リーダーの数も少ない。政府は女性の活躍を促すことで日本の現状を変え、持続的な経済成長につなげたい考えだ。

安倍政権が女性の活用を今後の成長の柱と位置づけたことで「ウーマノミクス」が改めて注目されている。「ウーマン」(女性)と「エコノミクス」(経済)を組み合わせた造語だ。女性パワーが経済をけん引するとの考え方で、米証券会社のストラテジストが提唱している。わが国では少子・高齢化が進む中、労働力人口が急ピッチで縮小している。これに対応するには、人口の約半分を占める女性の就業率を高めることが重要なカギとなる。

指導的地位に占める女性の割合を3割に

政府はこうした認識の下で、2014年6月に発表した成長戦略(改訂版)に「女性の活躍推進」を盛り込んだ。政策目標は、2020年までに(1)女性の就業率(25歳~44歳)を73%(2012年は68%)に引き上げる、(2)企業などで指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする――というものだ。

安倍晋三首相も同年1月、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での演説で、「いまだに活用されていない資源の最たるものが女性の力。日本は女性に輝く機会を与える場でなくてはならない。2020年までに指導的地位にいる人の3割を女性にする」と世界に公約した。目標達成は容易ではないが、その実現に向け次のような施策を打ち出した。

まず女性の活躍を促進するため、待機児童解消に向けて受け皿整備を加速させる。2015年度までに約20万人分、2017年度までに潜在的な保育ニーズを含め合計40万人分の保育の受け皿を新たに確保する。また、女性が職場でさらに活躍できるよう、仕事と子育ての両立支援に取り組む企業を助成金や税制面で支援する。大手企業などに対しては、役員・管理職への女性の登用状況などの情報開示を働きかけるという。

今夏の霞が関人事では4人の女性局長起用

政府の音頭取りに経済界も直ちに反応した。日本経団連は会員企業に対し、女性の管理職登用などの行動計画を作るよう要請した。政府も自らの取り組みとして、女性の採用・登用の拡大のほか、国家公務員の中央省庁人事などで幹部への女性登用を積極的に実施する方針だ。

政府の率先垂範例として、2013年7月には厚生労働事務次官に村木厚子氏を抜擢した。今夏の霞が関人事でも、法務・経済産業両省で初の女性局長が誕生するなど、新たに4人の女性を局長に起用した。ただ中央官庁で女性幹部誕生がニュースになること自体、女性の幹部起用が他国より遅れていることの証左ともいえる。

先進国標準に比べなお大きくかい離

職場での男女平等な扱いを求めた「男女雇用機会均等法」が施行されたのは1986年4月のこと。この法律により職場の男女差別はかなり改善されてきたが、まだ十分とは言えない。これまでに2回の法改正も行われた。さらに1999年6月には、男女の家事や社会での共同参画を目指した「男女共同参画社会基本法」が施行された。2001年1月には男女共同参画社会実現のための内閣府特命担当大臣も置かれた。

こうした法制度の整備により、女性の就業環境は改善されてきた。それでも、日本企業の女性活用はアジアの中でも“周回遅れ”状態といわれ、先進国標準に比べ女性就労の水準は質量ともに大きくかい離している。

2012年10月、東京で開かれたIMF・世銀総会の際、ラガルドIMF専務理事が「女性は日本の潜在力。働く女性を増やせば日本経済はよくなる」と発言し、こうしたメッセージが「女性の活躍促進こそ日本再生に不可欠」との機運を国内で高めている。男女共同参画会議報告書(2012年)によれば、女性の潜在労働力である就業希望者342万人が就労すれば、雇用者報酬総額は7兆円程度(GDPの約1・5%)増加する、と試算されている。

男女格差指数順位、日本はなお105位

その一方で、世界経済フォーラムが毎年公表している「男女平等(ジェンダー・ギャップ)指数順位2013年版」では、日本の男女格差指数の順位は136カ国中105位と不名誉なレベルで、前年より4つ順位を下げた。わが国は「健康と生存」で34位だったが、「教育」(91位)、「経済活動への参加と機会」(104位)、「政治への関与」(118位)の順位が極めて低かったためだ。

ジェンダー・ギャップ改善を含め、日本が他のG7諸国並みに女性が活躍できる社会をめざすには、官民挙げた政策努力とともに、日本の社会・文化に根づいてきた旧来意識の変革や発想の転換も求められる。東京都議会で「セクハラやじ」などを飛ばしている場合ではないのである。

カバー写真=職場でのジェンダー・ギャップは解消できるか(提供=時事)

  • [2014.07.11]
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