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日本の自殺死亡率
[2014.09.22] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية | Русский |

日本国内の自殺者は2013年で約2万7300人に達する。1日当たり平均75人の老若男女が、何らかの理由で自らの命を絶っている。近年は減少傾向を示しているものの、自殺者数は各国と比べても高水準だ。“自殺大国”ニッポンの背景にあるものは何か。

自殺に関するニュースは、国内外を問わずいつも衝撃的である。最近では「STAP細胞」論文の共著者だった理化学研究所の笹井芳樹CDB副センター長が自殺し、国内外に波紋を広げた。海上自衛隊では護衛艦勤務の男性隊員は上司のいじめを受けて自殺した。さらに東京都内の小学6年生の女子2人がマンションから一緒に飛び降り自殺した——という痛ましいニュースもあった。しかし、これらは自殺件数全体の氷山の一角にすぎない。

「健康問題」苦に自殺が多い高齢男性者

内閣府がまとめた2014年版「自殺対策白書」や警察庁の自殺統計などによると、2013年の自殺者総数は2万7283人だった。単純計算すると、20分に1人自殺していることになる。この数は同年の交通事故死者数(4373人)の6・2倍に達する。性別では男性が1万8787人で全体の68・9%を占める。年齢階層別には、60歳代が4716人で全体の17・3%と最も多く、次いで40歳代(4589人、16・8%)、50歳代(4484人、16・4%)、70歳代(3785人、13・9%)の順である。

自殺の原因・動機が明らかなものの中では、原因・動機が「健康問題(病気)」とされるものが1万3680人と図抜けている。ついで「経済・生活問題(貧困)」(4636人)、「家庭問題」(3930人)、「勤務問題」(2323人)の順。このほか「男女問題」「学校問題」「その他」が続く。この順位は毎年同じという。これらのデータから、中高年以上の男性が健康問題を苦に自殺するケースが多いことがうかがえる。

若年層の死因1位は「自殺」

2013年の自殺者総数は4年連続で減少している。特に経済・生活問題を動機とする自殺者が減っており、「経済状況の好転や各自治体による自殺防止の活動が効果を見せたため」(警察庁)としている。その一方で、15~39歳の各年代では、死因トップが「自殺」である状況は極めて深刻な問題だ。特に15~34歳の若い世代で死因の1位が自殺というのは、先進7ヵ国(G7)では日本だけという。

自殺者数の推移を過去35年間で見ると、1978~1997年の約20年間はほぼ2万~2万5000人の間で浮動していた。1998年には3万2863人に急増し、統計のある1897年以降で初めて3万人を突破、2003年には過去最高の3万4427人に達した。しかし、その後は徐々に減少傾向を示している。2012年には15年ぶりに3万人の大台を割り込み2万7858人まで減少し、2013年は前年をさらに575人下回った。

自殺者が1万人超える国は11ヵ国

近年の自殺者の減少傾向は喜ばしいことだが、世界的に見ると日本の自殺者数は依然、高水準である。世界保健機関(WHO)が作成した自殺防止に関する報告書によれば、2012年の世界の自殺者数(推計値)は合計で80万人以上という。このうち、自殺者数が1万人を超える国は11ヵ国。自殺者が最も多いのはインドで25万8000人。2番目は中国の12万730人、3番目が米国の4万3300人。以下、④ロシア3万2000人、⑤日本2万9400、⑥韓国1万7900人、⑦パキスタン1万3300人―の順である。

人口10万人当たりの自殺者数(自殺率)で比較すると、南米のガイアナが44人で最も多く、次いで北朝鮮が38・5人、韓国が28・9人と3番目に多い。実数で最多のインドは21・1人、日本は18・5人となる。インドの人口が日本の約10倍であることを考慮すると、日本の自殺率がきわめて高いことがうかがえる。

深刻な高齢者と若年層の自殺

一方、経済協力開発機構(OECD)が発表した自殺率統計では、加盟国内で自殺率1位は韓国で、2位がハンガリー、日本が3位となっている。日本と韓国に共通しているのは、15~34歳の若年層で死因トップが「自殺」であることと、中高年男性の自殺率が高いことなどだ。特に、次代を担う若年層の自殺率は欧米諸国では低下傾向にあるのに、日韓両国で上昇している点は憂慮すべき状態である。

国内での自殺の原因・要因については、専門家らによるさまざまな分析が行われている。働き盛りの世代では、景気悪化による事業不振や失業、過労など労働条件の悪化、職場の人間関係などと自殺者増加に相関関係があると指摘されている。中高年では健康問題や生活苦、介護疲れ、孤独などの要因が複雑に絡むこともある。さらに、子どもの自殺では「学校でのいじめ」などが背景にあるケースが多い。

「自殺対策」のさらなる取り組み必要

震災で家族や財産を失ったことなどが原因で自殺に追い込まれる事例もある。東日本大震災に関連する自殺については、発生した2011年が55人、2012年が24人、2013年が38人だった。いずれの年も男性の自殺者が多く、震災の後遺症がなお続いている。

政府は2007年6月、前年に施行された「自殺対策基本法」に基づき、自殺対策の指針として「自殺総合対策大綱」を決定した。この中で、青少年(30歳未満)、中高年(30~64歳)、高齢者(65歳以上)の3世代に分けて、各世代の自殺の特徴と取り組むべき自殺対策の方向を示している。それからすでに7年経過しているが、自殺者をさらに減らすための取り組みが国や社会を挙げて求められる。

カバー写真=健康に問題を抱える中高年の自殺率は相変わらず高い

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