シリーズ Japan Data
日本の新聞業界にネットの嵐—止まらぬ部数減
[2014.11.13] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | ESPAÑOL |

世界的な紙媒体の衰退の中で、国内で圧倒的なシェアと影響力を誇っている日本の新聞にもまた深刻な影響が現れている。「言論界の雄」新聞にどのような未来が待っているのか。

日本の新聞発行部数の減少が止まらない。日本新聞協会の調査データによると、2013年の発行部数は一般紙が4312万6352部で、前年の4372万3161部に比べ、59万6809部、1.36%減少した。たかが「1%程度」と思うかもしれないが、50万~60万部といえば有力地方紙の発行部数に相当し、由々しき事態であることは間違いない。

しかし、これも世界的な視点でみれば、ネット社会への流れの中で起きているもので、米国では紙媒体が苦戦を続け、クオリティー・ペーパーの「ワシントン・ポスト」はネットの書籍販売で有名なアマゾン・ドット・コムの経営者に買収され、「ニューヨーク・タイムズ」傘下の「ボストン・グローブ」は米大リーグ・ボストン・レッドソックスのオーナーに売却された。米国で紙媒体を襲っている嵐は他人事ではない。

一般紙は10年間で400万部以上が消える

日本の大手新聞の発行部数は世界的にみても圧倒的に多く、世界新聞・ニュース発行者協会(VAN‐IFRA)が発表した「2011年世界の新聞発行部数トップ10」では、トップの読売、2位の朝日を含め、日本勢が5社で半数を占めている。日本独特の“宅配制度”が支えている数字で、一般社団法人「日本ABC協会」の最新データによると、2014年9月の読売の販売部数は924万部で、2位の朝日が721万部、3位の毎日が330万部、4位の日経が277万部、5位の産経が160万部となっている。前月比では、読売が8800部、朝日が3万8000部減少しており、朝日が従軍慰安婦問題の「誤報」などで部数を減らしているとの見方もあるが、これだけでは断定はできず、当面はむしろ紙媒体全体の問題としてとらえておく方が妥当のようだ。

新聞協会の調査データによると、一般紙の発行部数は2003年が4728万2645部で、2013年までの10年間で415万6293部減少。スポーツ紙も559万2314部から387万3116部と、171万9198部減り、一般紙とスポーツ紙を合わせた1世帯当たりの購読部数も1.07から0.86に落ちてきた。

表1 新聞の発行部数と世帯数の推移

一般紙 スポーツ紙 朝夕刊セット部数 1世帯あたり部数
2013年 43,126,352 3,873,116 12,396,510 0.86
2012年 43,723,161 4,054,752 12,876,612 0.88
2011年 44,091,335 4,253,969 13,235,658 0.90
2010年 44,906,720 4,415,120 13,877,495 0.92
2009年 45,659,885 4,692,946 14,727,162 0.95
2008年 46,563,681 4,927,728 15,715,332 0.98
2007年 46,963,136 5,065,535 16,408,728 1.01
2006年 47,056,527 5,253,951 16,789,314 1.02
2005年 47,189,832 5,378,200 17,111,533 1.04
2004年 47,469,987 5,551,577 17,341,993 1.06
2003年 47,282,645 5,592,314 17,464,928 1.07
2002年 47,390,027 5,808,417 17,616,627 1.09
2001年 47,559,052 6,121,701 18,013,395 1.12
2000年 47,401,669 6,307,162 18,187,498 1.13

(単位=部)

注)発行部数は朝夕刊セットを1部として計算
各年10月、新聞協会経営業務部調べ
http://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php

若い世代ほど新聞を読まない・15~19歳は約半数

日本新聞協会広告委員会が実施している「全国メディア接触・評価調査」によると、2013年11月から12月にかけて行われた調査(訪問留め置き法、調査対象は15歳以上79歳以下の男女個人で、回答者3801人、54.3%)では、新聞の閲覧者は全体の83.6%に上り、年代別では50、60、70代が90%以上だったのに対し、40代が84.4%、30代が76%、20代が61.2%と、若い世代ほど新聞を読まなくなり、15歳から19歳は55%しかなかった。

新聞を読んで育ってきた世代の男性たちは「新聞を読まないとその日一日が不安」(60代会社員)などと語り、事件・事故などの単なる情報だけでなく、その背景までも書き込んだ新聞記事の大切さを指摘する。が、若い世代はネットから情報を得ているケースが少なくなく、「全国メディア接触・評価調査」でも、インターネットとの接触の有無を聞いたところ、20代と30代がネットとの接触が一番多く、93.6%と92.8%で、15歳から19歳は89.6%だったのに対し、40代からは年代が上がるごとに少なくなり、70代は20%しかなかった。

ちなみに、ネットを使っている人は全体の66.8%。具体的な利用状況を尋ねると、最も多かったのが「検索サイトのニュースを読む」で81.2%。「新聞社のニュースサイトを見る」と答えた人は46.4%だった。

表2 全国メディアの接触・評価

回答者(人数) 新聞購読(%) テレビ視聴(%) インターネット接続(%) ラジオ聴取(%) 雑誌閲読(%)
総数(3801) 83.6 98.0 66.8 52.4 68.2
15-19歳(240) 55.0 95.4 89.6 23.3 62.5
20歳代(345) 61.2 95.7 93.6 35.4 66.7
30歳代(571) 76.0 98.2 92.8 48.3 70.8
40歳代(675) 84.4 98.7 88.3 53.9 73.6
50歳代(596) 92.1 98.0 70.6 60.9 69.0
60歳代(774) 93.0 99.0 43.0 61.6 68.0
70歳代(600) 93.5 98.0 20.0 55.5 62.3

注)日本新聞協会広告委員会調査・2013年11~12月実施。
訪問留め置き法。15歳以上79歳以下の個人対象。回答率54.3%。
表中の比率は回答者の中での購読・視聴者の比率。
http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/read/data01.html

避けられないネット対応・新聞電子版は拡大基調

この中で、新聞社の総売上高(販売、広告、その他収入)も減少傾向が続いており、2013年のそれ(92社)は1兆8990億円で、前年(93社)の1兆9156億円に比べ、166億円減少。10年前の2003年(98社)の2兆3576億円に比べ、4586億円も減っている。新聞社にとっては年ごとに経営が厳しくなってきているということで、2013年には茨城県南部の地方紙「常陽新聞」が廃刊に追い込まれた。

勿論、新聞社側も手を拱いているだけではない。紙面改革によって女性読者の拡大や料金学割制度の導入による学生読者の獲得などに努めている。が、最大の課題はネット時代への対応で、日経新聞社の電子版有料会員数は2012年6月に21万7716人だったのが、2013年6月段階で30万人を突破し、翌14年1月には33万5059人と順調に増えている。中でも見逃せないのは電子版単体比率で、14年1月段階で50%を突破し、50.1%にまで上がってきたことだ。

日経以外の各新聞社も電子版サービスに対し、これまで以上に力を入れ始めており、読売は、本誌購読者が月額150円を支払えば、ネットで紙面のほとんどの記事を読め、過去記事の検索もできるサービスを行っている。また、朝日は本紙購読者に月額1000円で同じようなサービスを受けることが可能で、地方紙もさまざまな取り組みを行っている。

新聞協会企画開発部調べによると、2013年1月現在、電子新聞や有料デジタルサービスを行っているのは27社。インターネットを利用した情報サービスのうち、ウエッブを使っているのは回答を寄こした86社全社で、メールは42社、ウェブ上の動画コンテンツが51社、紙面イメージが47社、SNSが10社、外部サイトとの連携をしているところが66社となっている。

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