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中国、韓国とそれ以外で対日観の違い鮮明に

政治・外交

米国の独立系シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが2015年9月に公表した国際世論調査によると、日本を好意的にみる中国人は12%、韓国人は25%。しかし、アジア太平洋地域のそれ以外の国の人々は、7割以上が日本に好意的な感情を持っており、対日観に際だった違いがあることがあらためて浮き彫りとなった。

歴史認識、領土紛争による不信感続く

調査のタイトルはHow Asia-Pacific Publics See Each Other and Their National Leaders(アジア太平洋地域の国民が他国民と彼らの指導者をどのようにみているか)。4月から5月にかけてアジア太平洋10カ国の1万5313人を対象に実施された。

アジア太平洋諸国の人々の相互イメージ=数字は好意的にみている人の割合(%)

対日本 対中国 対インド 対韓国
マレーシア 84 78 45 61
ベトナム 82 19 66 82
フィリピン 81 54 48 68
オーストラリア 80 57 58 61
インドネシア 71 63 51 42
パキスタン 48 82 16 15
インド 46 41 - 28
韓国 26 61 64 -
中国 12 - 24 47
日本 - 9 63 21
中央値(メジアン) 71 57 51 47

出所:ピュー・リサーチ・センター 2015 spring Global Attitudes Survey

同センターは、長い間続いている歴史認識を巡る対立や最近の領土紛争が中韓両国の対日観に影を落としているとみている。日本人で中国を好意的に思っているのはわずか9%。領土紛争を抱えるベトナムでも、中国に好意を抱く人は19%にとどまった。政治面でのギクシャクした関係を反映しているようだ。

日本、中国、韓国、インド4カ国の、域内全体での“好感度”をはかる中央値を見ると、日本が最も高い71%。次いで中国(57%)、インド(51%)、韓国(47%)の順だった。

日本、中国、インドの各首脳に対し、「国際政治で正しい行動をとってくれるかどうか」という“信頼度”について他国の人々に見方を聞く調査も行われた。中国の習近平主席はマレーシア、韓国、パキスタン、フィリピンで、安倍晋三首相はマレーシア、フィリピン、オーストラリア、ベトナムで信頼度が高い。

習近平・中国主席、安倍首相、モディ・インド首相に対する信頼度(%)

習近平主席 安倍首相 モディ首相
マレーシア 72 73 34
韓国 67 7 39
パキスタン 59 34 7
フィリピン 51 68 44
オーストラリア 47 60 51
インドネシア 40 43 28
インド 29 36 -
ベトナム 20 68 56
日本 12 - 47
中国 - 18 29
中央値(メジアン) 47 43 39

出所:ピュー・リサーチ・センター 2015 spring Global Attitudes Survey

習主席を「信頼できる」と答えた日本人は12%。一方、中国で安倍首相を「信頼できる」と答えた人は18%、韓国ではわずか7%だった。

日中“相互不信”の改善示す調査結果も

アジア太平洋地域における対日観の二極分化は最近の別の調査でも示されている。中国共産党系の新聞、環球時報と韓国経済紙、毎日経済新聞が2015年7月から8月にかけ両国各1000人を対象に行った調査によると、「日本に嫌悪感を持っていますか?」との質問に中国人の55.9%、韓国人の33.1%が「はい」と答えた。

日中間に限れば、より最近の調査結果もある。言論NPOの「第11回日中共同世論調査」(日本の有効回答者は1000人で9月4日から28日に実施、中国の有効回答者は10都市1570人で、8月21日から9月7日まで実施)によると、中国に対する印象が「良くない」と答えた日本人は88.8%に達したが、最も悪かった2014年(93.0%)よりやや改善。日本に対する印象が「良くない」とする中国人は78.3%で、2013年の86.8%を下回り、両国ともに悪化のピークを脱しつつある。

文: 村上 直久(編集部)

バナー写真:首脳会談を前に握手を交わす(左から)安倍晋三首相、韓国の朴槿恵大統領、中国の李克強首相=2015年11月2日、韓国・ソウルの青瓦台(時事、代表撮影)

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