シリーズ Japan Data
男女格差:いびつな国ニッポン
“平等度”は世界145カ国中101位
[2016.01.08] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية | Русский |

「女性が輝ける社会を」と安倍首相がスローガンを掲げるものの、男女格差の解消は一向に進まない。世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する「世界男女格差レポート」では、日本は145カ国中101位と、先進国中で最低レベルにある。

G7で最下位、アジアでも「真ん中より下」

同レポートは2006年に始まり、2015年版が発表されたことで、この10年の「各国、世界の男女格差解消の実績」を見渡せる。女性の地位をめぐる各種の統計データを「政治への関与度」「経済活動への参加と機会」「教育」「保健」の4分野に分けて分析。男女平等度を表すスコア(満点が1点)を示すとともに、各国のランク付けも行っている。

G7(先進7カ国)を見ると、2015年では11位のドイツがトップ。以下フランス(15位)、英国(18位)、米国(28位)、カナダ(30位)、イタリア(41位)と続き、日本だけが大きく取り残されている。日本はアジア・太平洋諸国では「真ん中より少し下」で、中国(91位)やインド(108位)、韓国(115位)と同程度のポジションだ。

日本は初回2006年のリポートでは、スコア0.645で79位につけていた。2015年には0.670と若干改善したものの、ランキングは20位以上も下がっている。これは、この10年間の日本の男女格差解消への取り組みと実績が、世界の潮流にまったく追いついていないことを示している。

政治、経済での格差際だつ

同リポートを詳しく読むと、日本は「教育」「健康」の分野に関しては、他の国々と遜色ないスコアにある。問題は「政治への関与」と「経済活動への参加と機会」の度合いだ。

政治、経済面での日本の男女格差

2006年 2015年 2015年順位
類似の労働における賃金格差
(男性を1として)
0.62 0.65 69
女性管理職の割合 10% 9% 116
国会における女性議員の割合 9% 9% 125
内閣における女性閣僚の割合 13% 22% 51

管理職に占める女性の割合は、この10年で1ポイント低下し、わずか9%。この数字はあまりにも低く、これを35%にまで引き上げないと世界の50位にさえ届かない。女性国会議員の割合も同様で、トップ50に滑り込むには26%という実績が必要だ。ここ10年で日本が順位を上げたのは、女性閣僚の割合ぐらいだ。

家事をしない日本の男性

生活面、労働面で日本の男女格差の特徴を端的に示すデータを、他国と比べた形で下表にまとめてみた。日本における全女性雇用者のうち、非正規雇用者は33.4%。男性に比べ非常に高い。これに近いのはイタリアぐらいで、“平等度上位国”のフランス、フィンランドでは性差はほぼなくなる。また、日本男性が家事労働にあてる時間は、ほぼ他国の半分以下。「夫は外で働き、妻は家を守るべき」という意識が、いまだに根強いことをうかがわせる。

生活・労働面での男女平等度:日本と上位国の比較

非正規雇用者の割合 1日の家事時間
日本(総合スコア0.670,  101位) 女性33.4%、男性10.1% 女性299分、男性62分
ポーランド(0.715,  51位) 女性12.2%、男性4.7% 女性296分、男性157分
イタリア(0.726,  41位) 女性31.1%、男性7.1% 女性315分、男性104分
カナダ(0.740,  30位) 女性26.5%、男性11.8% 女性254分、男性160分
フランス(0.761,  15位) 女性9.7%、男性10.0% 女性233分、男性143分
フィンランド(0.850,  3位) 女性16.4%、男性9.5% 女性232分、男性159分

男性中心型の労働慣行

一般財団法人女性労働協会の鹿島敬会長は、日本の現状について「男性正社員を中心に長時間労働が当たり前という労働慣行が主流として続き、女性が出産後も働き続けるための態勢が整っていない」と強調。一部の企業で活躍している女性役員も「独身か、結婚していても子どもがいない女性が多い」と指摘する。女性の政治関与を促す方策としては、比例代表選挙区におけるクオータ制の導入が考えられると述べた。

政府の新たな取り組みとしては、2015年8月に「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」が成立。常時雇用する労働者が301人以上の企業に、女性の活躍に向けた行動計画の策定が義務付けられた。

ただ、課題も残っている。みずほ総合研究所は「女性活躍推進法は有効か」と題するリポートの中で、①最低目標水準が企業に示されていない、②情報の公表制度の設計が不十分③非正社員として働く女性のキャリア形成に向けた措置が不十分――などと指摘。女性の管理職登用など数値目標について、業種別・企業規模別に最低限目指すべき水準を提示すべきだと提言している。

2015年男女平等度ランキング(抜粋、カッコ内は前年順位)

1 (1) アイスランド 17 (18) 南アフリカ
2 (3) ノルウェー 28 (20) 米国
3 (2) フィンランド 85 (71) ブラジル
4 (4) スウェーデン 91 (87) 中国
5 (8) アイルランド 101 (104) 日本
6 (7) ルワンダ 108 (114) インド
7 (9) フィリピン 115 (117) 韓国
8 (11) スイス 145 (142) イエメン
9 (23) スロベニア
10 (13) ニュージーランド

文・村上 直久(編集部)

バナー写真:女性の再婚禁止100日超は違憲とする最高裁判決を受け、紙を掲げる関係者。最高裁はこの日、夫婦別姓を認めない民法の規定については「合憲」と判断した=2015年12月16日、東京都千代田区の最高裁判所前(時事)

この記事につけられたタグ:
  • [2016.01.08]
関連記事
このシリーズの他の記事

ピックアップ動画

最新の特集

バナーエリア2
  • nippon.comコラム
  • in the news
  • シンポジウム報告