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改憲勢力が3分の2超える—2016参院選

政治・外交

2016年の参議院議員選挙は、自民党と公明党の連立与党が勝利。両党におおさか維新の会などを加えた「改憲勢力」が、憲法改正発議に必要となる全議席の3分の2を超えた。

自公で改選議席の過半数占める。民進退潮、共産は伸ばす

第24回参議院議員選挙は7月10日に投開票され、新聞各社、NHKなどの報道によると、自民党は改選前から6議席上積みとなる56議席を獲得し大勝。連立与党の公明党は今回、改選前より5議席伸ばし、14議席を獲得した。自公合わせた獲得議席は70で、安倍晋三首相が目標としていた「与党で改選議席の過半数」(61)を上回った。

野党は民進党が32議席と退潮。共産党は6議席と健闘した。おおさか維新の会は7議席と勢力を伸ばした。社民党、生活の党と山本太郎となかまたちは、各1議席を得た。日本のこころを大切にする党、新党改革は議席を獲得できなかった。

自公両党やおおさか維新の会に加え、無所属議員などを加えた「改憲に前向きな勢力」は、憲法改正発議に必要となる全議席の3分の2(162)を超えた。

女性の当選者数は、選挙区17人、比例代表11人の計28人。2007年の26人を上回り、過去最多となったが、全当選者121人に占める割合は23.1%にとどまっている。

参院の定数は242で、3年ごとに半数を改選する。今回は公職選挙法の改正で、初めて18歳、19歳の有権者が国政選挙に投票した。投票率は54.70%。前回参院選(2013年)の52.61%は上回ったが、過去4番目の低さだった。

2016年参院選 各党獲得議席数

合計 選挙区 比例代表
(全国区)
与党 自民 56 37 19
公明 14 7 7
野党 民進 32 21 11
共産 6 1 5
お維新 7 3 4
社民 1 0 1
生活 1 0 1
こころ 0 0 0
改革 0 0 0
無所属 4 4
合計 121 73 48

アベノミクスに一定の信任、連立与党は安定

今回選挙は安倍首相が「世界経済のリスク」を理由に消費税引き上げの再延期を決めた中で行われ、首相の経済政策アベノミクスの是非が主な争点となった。民進、共産、社民、生活の4党は「野党共闘」を実現させ、全国の1人区で統一候補を擁立。経済政策の見直しのほか、「安全保障関連法の廃止」「改憲阻止」などをスローガンに掲げた。

国内メディアによる各種の世論調査では、有権者の関心が高い政策は「医療・年金などの社会保障」「景気・経済対策」「子育て・待機児童問題」などだった。

自民、公明、おおさか維新、こころの「改憲勢力4党」は既に衆院で3分の2以上の勢力に達しており、数の上では衆参両院で「憲法改正発議」ができる状況が整ったことになる。安倍首相は参院選公示前のネット討論会で「次の国会から憲法審査会を動かしていきたい」と発言するなど、憲法改正に前向きな姿勢だが、改憲の具体的な内容について各党の主張は異なっており、今後は曲折も予想される。

1人区対決は自民21勝、野党11勝

自民と野党4党による「統一候補」が対決した、32ある1人区の結果は自民21勝、野党11勝という結果に。13年の参院選では自民が29の選挙区で勝っており、野党共闘は一定の効果が出た形となった。福島では岩城光英法相、沖縄では島尻安伊子・沖縄担当相の両現役閣僚が落選した。

バナー写真=東京・永田町の自民党本部内で当選者の名前にバラを付ける安倍晋三首相(左から2人目)と谷垣禎一幹事長(同3人目)ら同党幹部(時事)

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