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ワーキングマザーの割合、過去最高の68.1%に

社会

18歳未満の子を持つ女性のうち、就労している人が68.1%に上ることが厚生労働省の国民生活基礎調査で明らかになった。同じ質問項目で調査を始めた2004年以降で過去最高。母子世帯の増加や、女性全体の労働力率上昇を反映している。

この調査は、保健、医療、福祉、年金、所得といった国民生活の基礎的事項の把握を目的に、それまで行われていた4つの異なる調査を統合して1986年から実施されている。

働く母の割合、約10年で急増

7月に公開された2015年の簡易調査結果によると、18歳未満の子を持つ世帯は1181万7000世帯(全世帯数の23.5%)。その母親の仕事について尋ねたところ、「正規の職員・従業員」(22.4%)、「非正規の職員・従業員」(37.2%)などを合わせた「仕事あり」が68.1%だった。調査を始めた2004年(56.7%)と比べ、11ポイント以上増加している。

父子世帯の10倍、しかも増加中の母子世帯 

働く母が増えた背景は何か。一つは、母子世帯が増えていることだ。同調査によると、母子世帯数は2015年に79万3000を記録。年により増減はあるものの、2005年比でおよそ15%も増加している。一方、父子世帯数は7万8000世帯で、この10年間ほぼ横ばい。つまり、働く必要に迫られた母親がそれだけ増えている。

浅くなったMカーブの谷

働く母親の増加を考える際には、内閣府がまとめている男女共同参画白書のデータも参考になる。これによると、子の有無にかかわらず働く女性は増えており、特に子育て時期に相当する年齢に仕事を辞める女性が近年減っている。同白書2015年度版では、女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口=就業者+完全失業者=の割合)を示す折れ線グラフを示し、これまで見られてきたM字カーブが「前に比べて浅くなっている」と指摘している。

M字カーブとは、15歳から上昇する労働力率の折れ線グラフの線が、結婚・出産期にいったん低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇することを表す言葉。日本女性の就労状況の特徴とされてきたが、近年では谷が浅くなる傾向にあり、顕著なM字カーブは過去の話となりつつあるようだ。

0歳児の母の就労4割、15歳では8割に

国民生活基礎調査では、「一番下の子」の年齢別に見た母親の就労率・就労形態を比較した結果も示されている。それによると、0歳児の母の就労率は約4割で、5歳児になると約7割に上昇。子どもが12歳以上になると、約8割の母親が何らかの仕事を持っている。

子どもの年齢にかかわらず、「正規の職員・従業員」として働く母親は全体の2割強。自営やファミリービジネスなどで働く母親が1割弱いる。子どもの年齢が上がるにつれて大きな増加を見せるのは、「非正規職員・従業員」の割合のみだ。0歳児の母で1割だったのが、7歳以上では4割以上に達している。

この調査結果をみると、まだまだ「子どもができたら母親は勤めを辞め、子育てが一段落したら家計を助けるためにパートに出る」という図式が鮮明だ。子育て世代に働く母親が増えているといっても、仕事と子育てを両立させるための環境整備は道半ばだ。

取材・文=益田 美樹

バナー写真:待機児童改善を訴える民主党(現・民進党)の山尾志桜里氏(左端)、母親らから署名を受け取る塩崎恭久厚生労働相(右端)=2016年3月9日、東京・国会内(時事)

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