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クジラ肉、専門店でしかお目にかかれない希少品:かつては給食メニューの定番だった

社会

戦後日本の貴重なたんぱく源だったクジラ肉。商業捕鯨の中止以降は、一般にはほとんど出回らなくなった。

戦後復興期から高度経済成長期の日本では、クジラ肉は貴重なたんぱく源だった。1951年に日本が国際捕鯨委員会(IWC)に加盟した背景には、「IWCの下で商業捕鯨を行い、国民に良質なたんぱく源としての鯨肉を供給」する狙いがあった。

農林水産省の食料需給表によれば、1960年度のクジラ肉の国内消費量は15万4000トン。60年代は20万トンを超えたこともあり、70年代くらいまでは「クジラの竜田揚げ」が学校給食の定番メニューとして登場していた。

70年代以降は、養豚・養鶏業の発展とともに、クジラ肉消費は徐々に減退。82年にIWCが商業捕鯨の一時停止を決定、88年に日本が商業捕鯨を中止して以降は数千トン台での推移が続いている。クジラ肉がスーパーなどで一般に流通することはほとんどなく、専門店に行かなければ食べられない希少なものとなっている。

1人あたりの年間の肉類の消費量でみると、1960年は年間の肉類消費全体で5.2キロ。このうち、クジラ肉が最も多い1.6キロだった。2017年は肉全体で32.7キロ。鶏肉13.4キロ、豚肉12.8キロが主力で、牛肉はその半分程度。クジラ肉は1人あたりに換算すると0となっている。

バナー写真 : PIXTA

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