web論壇誌として認知された「nippon.com」
一般財団法人ジャパンエコー 原野 城治
[2012.01.25]

2011年12月にnippon.comに掲載された谷内正太郎元外務次官の論文「アジア太平洋地域の国際公共財としてのTPP」が、読売新聞(同年12月26日付)の論壇誌を紹介する「思潮」で取り上げられた。

これはnippon.comが“web論壇誌”として広く認識されたことを意味し、今後の礎を築く上での重要な第一歩となった。

“公共財”としてのサイトづくり

nippon.comでは、白石隆政策研究大学院大学学長を編集長に、若手学者らを中心とする編集委員会を毎月開催し、日本の現状を分析し、特集のテーマや大きな方向性について長時間討議して編集方針を決定している。論文はすべて描き下ろしのオリジナルを毎月3~4本、さらに短めの論文として「時評(currents)」を4本程度発信している。等身大の日本を端的に伝えるため、資料性やビジュアル面にも配慮してweb掲載にふさわしいスタイルを目指している。

読売新聞の「思潮」では、谷内論文について「これまで世界が決めたルールに従うしかなかった日本にとって、TPPは『歴史的チャンス』との認識を示す」と論評した。谷内論文の斬新性は、日米安保体制について“国際公共財”という認識が定着しているように、TPPも長期的な視野に立てば、アジア太平洋地域の重要な国際公共財に育つと指摘した点だといえる。

nippon.comも谷内論文が指摘する“公共財的な”価値を高め、日本の論壇だけでなく、視野を広く持ち世界の公論の場に問題提供などをしていければと考えている。国連公用語6カ国語による発信体制の構築はそうした高い目標のためでもある。

内向き志向・辺境論を排す

最近の日本論壇の衰退ぶりは、出版界の経営環境の悪化と関連しているが、もう一面では1990年のバブル崩壊以降、日本の社会全体の「考える力」が落ちてきていることの証左だともいえよう。自発性の欠如の時代でもあり、独創性などはなおのこと見えにくくなっている。

別の言い方をすれば、日本は自分の立ち位置が分からなくなっており、内向き志向あるいは辺境論で安心しきっているのかもしれない。

また、危機や人気を煽るのが好きな最近のジャーナリズムに比して、論壇の元気のなさはオピニオン・リーダーとしての責任の回避を指摘されても仕方ないかもしれない。もっと日本がいい国だという自信と自覚を持つべきではないだろうか。

サミュエル・ハンチントン教授は名著『文明の衝突』の中で、「日本文明は孤立した友人のない文明」と論じた。果たしてそうだろうか。等身大の日本の姿や内情をしっかりとした論文や柔らかなコンテンツによって世界に発信し、そのことによって世界の人々に日本に対する共通認識が広がる。と同時に、その情報の交流を通じて異文化の違いがしっかり認識される。日本は孤立した文明ではないし、文明間の垣根を平然と越えることができる。

多言語サイトnippon.comはそうしたことに寄与できるグローバル時代の対話と交流のためのサイトであり続けたいと考えている。

  • [2012.01.25]
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