朝日新聞「私の視点」に寄稿

朝日新聞の2012年6月1日朝刊、17面の「私の視点」に「日本の対外発信、多言語のweb論壇 官民で」が掲載されました。

掲載文で強調したのは、日本の対外発信力が低下する中で、インターネットをフル活用するためには、多言語発信体制の構築が不可欠であることです。また、ネット情報は速報性が身上ですが、「nippon.com」では、あえて手間ひまをかけた論考やコンテンツを発信し続けていること、消費される「速い」情報ではなく、世界の人々の心や意識に長く沈殿する「遅い」情報や論を届けるということも書きました。

もう1つのポイントは、日本では出版不況で論壇誌の休刊が相次ぎ、本質に迫る論文や時評が少なくなっていることです。課題山積の時代だからこそ、しっかりした「論」を海外に発信し、議論を起こし、日本自身の行動にも結び付けていかなければならないと考えています。海外に認知される多言語の「web論壇」が「nippon.com」の目標といえます。

「nippon.com」はスタートしてまだ7か月ですが、多くの読者のご支援で順調に推移しています。より多くの海外の方に読んでいただけるよう、これからも新たな挑戦をしながら良質のコンテンツを発信し続けたいと考えています。

官は財政危機を言い訳にせず、民はひとごとのように官に任せず、切磋琢磨しながら持ち味を生かした対外発信をすることが、日本全体の「考える力」の回復につながるのではないか、と思うばかりです。