錦織、初優勝逃す—全米オープン
日本男子テニストッププレーヤーの歴史的な活躍に国中が興奮
[2014.09.11] 他の言語で読む : ENGLISH |

テニスの全米オープン決勝は9月8日(ニューヨーク時間)、第10シードの日本の錦織圭(世界ランキング8位)が第14シードのクロアチアのマリン・チリッチ(同12位)と対戦、3-6、3-6、3-6のストレートで敗れ、優勝を逃した。錦織、チリッチともに決勝進出は初めてでどちらが勝っても初優勝となった。錦織は準決勝まで目覚ましい活躍を見せて勝ち進んでおり、全米オープンだけではなくテニスの4大大会(グランドスラム)で、日本人として、またアジア出身の男子プレーヤーとしても初めての決勝進出を果たしたが準優勝に終わった。

チリッチは準決勝で当たったスイスのロジャー・フェデラー(世界ランキング3位)を6-3、6-4、6-4のストレートで退けており勢いに乗っていた。

歴史を書きかえる

錦織、マリン・チリッチに強烈なバックハンドで返球(写真提供・時事)

錦織は準々決勝でスイスのスタニスラス・ワウリンカ(世界ランキング4位)をフルセットの末、倒し日本人としては81年ぶりにグランドスラム大会で準決勝に進んだ(1933年にウィンブルドンの全英オープンで佐藤次郎が準決勝に進出している。佐藤は翌年、欧州遠征の帰路、マラッカ海峡で悲劇的な投身自殺を遂げた。全米オープンでは1918年に熊谷一弥が準決勝に進んでいる)。

錦織は、6日の準決勝ではセルビアのノバク・ジョコビッチ(世界ランキング1位)を6-4、1-6、7-6 [4]、6-3の4セットで快勝、日本中を沸かせた。会場となったアーサー・アッシュスタジアムは気温が37度で湿度も高い中、錦織は終始、動きもよく果敢にプレーした。日本時間で7日未明の試合であったが、日本のファンは肉体、精神両面ですばらしい成長を遂げた錦織に拍手を送った。

錦織のサポートチームは1989年にグランドスラムの全仏オープンを優勝した米国人コーチ、マイケル・チャン氏が率いている。特に今回の全米オープンでは、錦織の精神面の強化が焦点となっていた。錦織は8月に右足にできたのう胞の除去手術を受けたばかりであったからだ。みごとに復活したプレーぶりには多くの人が驚いた。

強力なスポンサー体制

この大会の結果、日本のテニス界のスーパースターとなった錦織だが、テニス修行のため十代前半に米国フロリダ州に移住しており、最近10年間は、日本に住んでいない。世界中から集まった若いトッププレーヤーに囲まれた環境の中におり、身長のハンディを克服するため高い位置から返球する空中ショット「エアー・ケイ」などの独自のスタイルも、そのような環境の中から編み出したものである。

2011年初めから、カジュアル衣料のユニクロショップを展開するファーストリテイリングが公式スポンサー契約を結んで、錦織を強力に支援している。ファーストリテイリングがスポンサー契約を結んだ選手はそう多くはいないが、今年の全米オープンは見事「大当たり」となった。錦織だけでなく、ジョコビッチもスポンサー契約を結んだ選手で、準決勝は「ユニクロ対決」となったからである。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「これは夢の対決だ」とご満悦だった(結局、錦織は1億円もの報奨金をファーストリテイリングから贈られた)。

柳井正会長兼社長(右)は2012年2月のお披露目会で、錦織着用のユニクロのスポーツウェアを紹介 (写真提供・時事)

ファーストリテイリングは会場で、錦織と車いすテニス・プレーヤーの国枝慎吾が着用するシャツの特別販売を行ったが、決勝戦の朝の時点で、ウェブサイトと店頭での限定販売ともに売り切れとなった。日本のテニスファンたちは、錦織が使っているラケット「ウィルソン・スチーム 95」も買いに走ったが、これも都内の一部テニスショップでは8月以降、在庫なしの状況になったという。スイスの時計大手タグ・ホイヤーや日清食品など、このほかの公式スポンサーもまた錦織の活躍で増益を記録した。

さらに錦織フィーバーの恩恵にあずかったのが衛星放送のWOWOWだ。同社は全米オープンの国内独占放映権を持っており、新規申し込みが殺到した。この有料放送を観ることのできないファンは、ワールドカップサッカーの時と同じく営業時間を延長したスポーツ・バーや、パブリック・ビューイングを行った競技場などに繰り出した。

車いすスポーツは日本が席巻

今年の全米オープンで活躍した選手は錦織だけではない。男子車いすテニスの国枝慎吾(世界ランキング1位)はシングルス決勝で、アルゼンチンのグスタボ・フェルナンデスを7-6 [0]、6-4のストレートで退けた。国枝はフランスのステファン・ウデと組んだダブルスでも、優勝を勝ち取った。女子の車いすテニスでは上地結衣が、シングルス決勝でオランダのアニーク・ファンクートと対戦、6-3、6-3のストレートで勝利、ダブルスでも英国のジョーダン・ウィリーと組み、決勝を制している。

(原文英語、写真:錦織、チリッチ(左)のグランドスラムの初勝利を祝福する。写真提供・時事)

 

  • [2014.09.11]
この記事につけられたタグ:
関連記事
その他のコラム

ピックアップ動画

最新の特集

バナーエリア2
  • nippon.comコラム
  • in the news
  • シンポジウム報告