九州電力「川内原発」が再稼働
「原発ゼロ」2年で終了
[2015.08.11] 他の言語で読む : 简体字 | 繁體字 |

九州電力の川内原子力発電所1号機(鹿児島県薩摩川内市)が8月11日、再稼働した。国内の原発が稼働するのは、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)が定期検査で2012年9月に停止されて以来、約2年ぶり。東日本大震災(11年3月11日)による東京電力福島原発事故発生後、原子力規制員会の「新規制基準」が導入されてから初めての原発再稼働となった。安倍晋三首相は8月10日の参院予算委員会で、川内原発の再稼働について「世界最高水準の新基準で認められた原発から再稼働していく」と表明した。

福島原発の事故が起きた当時の民主党政権は緊急対応に追われ、日本の原子力エネルギー政策をどうするかなどについて十分な検討をする間もなく、12年5月に北海道電力の泊原発3号機が定期検査のため運転を停止し、国内すべての原発が稼働をストップ。日本は42年ぶりに「稼働原発ゼロ」となったが、当時の野田内閣はその2カ月後に大飯原発3、4号機をいったん再稼働させている。

原子力規制委員会が、激しい議論の末に、原発推進の経産省、文科省などの官庁から独立したのは12年9月。13年7月には地震や津波に対する対策の強化に加え、過酷事故対策を義務化した新規制基準を施行した。同委員会は原発設備、自然災害、放射線防護の専門家ら5人で構成する。国家行政組織法3条に基づく「三条委員会」として、政治介入などができないように高い独立性を持つ機関に生まれ変わった。

再稼働中止の仮処分申請で、“正反対”の判断を示した2地裁

川内原発については、周辺住民らが「1、2号機の稼働差し止め」の仮処分を求める申し立てをしていた。しかし、鹿児島地方裁判所は15年5月に、住民の申し立てを却下した。同地裁の決定文は、原子力規制委員会が策定した新規制基準について、「最新の調査・研究を踏まえ、専門的知見を有する原子力規制委員会が相当期間・多数回にわたる審議を行うなどして定められたもので、最新の科学的知見等に照らし、その内容に不合理な点は認められない」との判断を示した。

また、鹿児島地裁は、焦点の一つだった火山審査についても「評価は火山学の知見により一定程度裏付けられているといえるから、原子力規制委員会が示した新規制基準への適合性判断に不合理な点は認められない」と判断した。

一方で、福井地裁は同年5月、同じように住民から再稼働差し止めの仮処分申請が出されていた関西電力高浜原発3、4号機にについて、「新規制基準は緩やかすぎ、合理性を欠く」として仮処分の申し立てを認めた。請求の「棄却」と「容認」という正反対の地裁判決は、新規制基準をめぐる議論だけでなく、原子力規制委員会のあり方に絡む重要な問題を提起したともいえる。

再稼働申請は「25基」、基準合格は「5基」

日本の原発再稼働へ向けた状況はどうなっているのか。再稼働を申請した原発は、全国15原発の25基。このうち、原子力規制委員会が新基準を満たすと認めたのは、川内1、2号機、高浜3、4号機(福井県)、伊方3号機(愛媛県)の計5基にとどまっている。

現在審査中の原発では、九州電力の玄海原発3、4号機(佐賀県)、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)の4基について、再稼働を視野に審査が続けられている。東京電力の経営再建問題と密接に絡む柏崎刈羽原発6,7号機(新潟県)については、原子力規制委員会が集中審査をしているが、地元・新潟県の同意を得る手続きなどに手間取っており、先行きは不透明だ。

原発再稼働に向けた審査の状況

合格 九州電力・川内①② 加圧水型
関西電力・高浜③④ 加圧水型
四国電力・伊方③ 加圧水型
合格が視野に 九州電力・玄海③④ 加圧水型
関西電力・大飯③④ 加圧水型
合格見えず 東京電力・柏崎刈羽⑥⑦ 沸騰水型
(規制委が集中審査中) 沸騰水型
東北電力・女川② 沸騰水型
中部電力・浜岡④ 沸騰水型
中国電力・島根② 沸騰水型

原発は「加圧水型軽水炉」(PWR)と「沸騰水型軽水炉」(BWR)の2つの方式に大別できるが、合格した川内原発など5基はいずれも加圧水型。柏崎刈羽原発など沸騰水型原子炉は、今のところ審査に合格したものはない。さらに、将来の問題ではあるが、核のゴミである使用済み核燃料を再利用する国の「核燃料サイクル」は暗礁に乗り上げたままの状態で、原子力行政の先行きは不透明さを強めている。

政府は14年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、15年7月に承認した「2030年度の電源構成」では約2割の電力を原子力でまかなうことを決めている。

文・ニッポンドットコム編集部

バナー写真:九州電力川内原子力発電所の正門前から見える原子炉建屋=2015年8月11日、鹿児島県薩摩川内市(時事)

  • [2015.08.11]
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