甘利経済再生相が辞任
“政治とカネ”また不祥事
[2016.01.29]

建設会社から現金、秘書の流用認める

甘利明経済再生担当相(66)は2016年1月28日、自身や秘書が千葉県の建設会社から口利きの依頼を受けて現金を受け取ったとする週刊文春の報道を受けて記者会見し、閣僚を辞任すると表明。その後、安倍晋三首相に辞意を伝え了承された。後任には石原伸晃元環境相(58)が起用された。

甘利氏は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の国際交渉で先頭に立ってきた重要閣僚。首相の信頼が厚く、第1次安倍内閣では経済産業相、第2次内閣では経済再生担当相として「アベノミクス」のかじ取り役を担っていただけに、辞任は安倍政権にとって大きな打撃となる。

甘利氏は記者会見で、建設会社から持ち込まれた現金のうち、秘書が300万円を私的に流用したと説明。この秘書と別の秘書の2人が多数の飲食接待や現金供与を受けていたことを認めた。その上で「秘書の監督責任、閣僚としての責務、および政治家としての矜持にかんがみ、閣僚の職を辞することを決断した」と述べた。自身が建設業者から100万円を受け取っていたことも認めたが、「政治資金として処理されていたことを確認した」と説明し、違法性を否定した。

週刊文春の報道が発端

甘利氏をめぐる現金授受の疑惑は、21日発売の週刊文春の報道が発端。文春は現金を渡した建設業者などからの取材を基に

  • 2013年5月に、工事のトラブルで独立行政法人の都市再生機構(UR)に補償を求める建設会社の総務担当者が、甘利氏の秘書に解決の口利きを依頼
  • 同年8月、トラブル解決の謝礼に総務担当者が秘書に500万円を渡した
  • 11月には建設会社社長が大臣室を訪問し、現金50万円入りの封筒を甘利氏に渡した
  • 14年2月にも総務担当者が口利きを依頼し、甘利氏に現金50万円を渡した

などと報じた。

この報道について甘利氏は記者会見で、

  • 現金50万円を2回受け取ったが、政治資金として適切に処理した。現金入りの封筒を内ポケットに入れたとの報道は誤り
  • 13年8月には1000万円が建設会社から持ち込まれたが高額だとして500万円を返し、残り500万円のうち300万円を秘書が流用していた
  • 建設会社から秘書らへの度重なる接待があった。詳細は調査中

と説明。秘書による口利きの有無についても、今後調査する意向を示した。

野党、引き続き国会で追及の構え

週刊文春の報道以降、政府与党内からは2016年度予算の国会審議が疑惑追及で停滞するほか、甘利氏が担当する今国会の重要法案、TPP関連法案の審議に大きな影響が出るとの懸念が広がっていた。

野党は、甘利氏の辞任でこの問題が“幕引き”とならないよう、「政治とカネ」の問題に焦点を絞り、国会で安倍政権を引き続き追及する構え。今回辞職した2人の元秘書や、甘利氏自身に対する参考人招致を求めることなどを検討している。

「政治とカネ」で閣僚辞任相次ぐ

2012年の第2次安倍内閣発足後、閣僚の辞任は甘利氏で4人目。第1次内閣を含めると実に8人目で、多くが「政治とカネ」の問題を批判されて職を辞している。

第2次、第3次安倍政権で辞任した閣僚

甘利明 経済再生担当相 2016年1月 千葉県の建設会社から、口利きがらみの金銭授受疑惑が発覚。秘書の現金流用や多額接待を認め「秘書の監督責任、閣僚としての責務」などにかんがみて辞任を表明
西川公也 農水相 2015年2月 自らの政党支部が国の補助金を受けた木材関連企業から300万円の献金を受けたほか、補助金交付の決まっていた精糖業界団体が運営する企業からも献金を受けていた問題などで辞任。
小渕優子 経済産業相 2014年10月 自身の政治関連団体や後援会の不透明な資金処理が明るみに出て辞職。支持者向けに開いた観劇会で、実際の支出より少ない収入を政治資金報告書に記載するなどの問題が指摘された。
松島みどり 法相 2104年10月 選挙区内のイベントで自身の顔のイラストや名前などの入った「うちわ」を配布し、公選法違反(寄付行為)にあたると野党から指摘された。「国政を遅滞させた」などとして辞任。

(ニッポンドットコム編集部)

バナー写真:記者会見で閣僚辞任を表明し、厳しい表情を見せる甘利明経済再生担当相=2016年1月28日、東京・永田町(時事)

  • [2016.01.29]
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