阿蘇山噴火——また九州、今年で3例目

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噴火したもののそれでもおとなしい阿蘇の歴史

9月14日朝、熊本県の阿蘇山中岳第一火口が噴火した。福岡管区気象台によると、噴火に伴い、火口から2000メートル上空まで噴煙が上がった。また火口から弾道を描いて飛散する大きな噴石が確認された。今後も同程度の噴火が起こり、噴石が1キロメートル以上飛散する可能性があるという。

気象庁は、阿蘇山の噴火警戒レベルを従来の2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。(噴火警戒レベルの一覧は次の通り)

噴火警戒レベルの解説

レベル 種別 対象範囲 警戒内容 状況
5 特別警報 居住地域およびそれより火口側 避難 ・居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生あるいは切迫。
・住民避難が必要
4 特別警報 居住地域およびそれより火口側 避難準備 ・居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が予想される
・住民避難準備が必要
3 警報 火口から住居地域近くまで 入山規制 ・居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす噴火が発生あるいは発生予想。
・住民は通常生活。
・登山者入山規制。立ち入り規制
2 警報 火口周辺 火口周辺規制 ・火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生あるいは発生予想。
・住民は通常生活。
・火口周辺立ち入り規制
1 予報 火口内など 活火山であることに留意 ・火山活動は平穏。
・住民は通常生活。
・立ち入り規制なし

ちなみに阿蘇山は、常時、中岳第一火口から噴煙を上げ、活発な活動を続けている火山と思われているが、地質学的な調査の結果では、有史以来、レベル4以上の噴火は発生していないという。もっとも近い時期の大噴火は約2000年前で、溶岩流が約4キロメートル流れ出したという。レベル5に相当する。

今年は九州の当たり年か

今年(2015年)になって、警戒レベルが引き上げられた国内の火山は、阿蘇山のほかに、雌阿寒岳、蔵王山、浅間山、箱根山、桜島、口永良部島があるが、このうち、レベル3以上への引き上げを行ったのは、5月29日の口永良部島(3→5、ちなみに2014年8月6日に1→3)、6月30日の箱根山(2→3、ちなみに5月6日に1→2、9月11日に3→2に引き下げ)、8月15日の桜島(3→4、2010年10月13日に2→3、今年9月1日に4→3へ引き下げ)と今回の阿蘇山。九州の火山の活動活発化が目立っている。

カバー写真=9月14日、噴煙を上げる阿蘇山(提供・時事、撮影・若宮正司)

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