[ニュース]原発事故は「人間の愚かさ」=危機克服へ教育充実を−バイオリン奏者ギトリス氏
[2017.01.26] 他の言語で読む : ENGLISH |

【パリ時事】東日本大震災の被災地にゆかりのあるイスラエルの世界的なバイオリン奏者、イブリー・ギトリス氏(94)が16日、パリで時事通信の取材に応じた。東京電力福島第1原発事故について「自然災害と人間の愚かさの『不幸な結婚』によって引き起こされた」と指摘し、過ちを繰り返さないよう次世代を担う子どもたちの教育を充実するよう訴えた。

ギトリス氏は震災から1年を迎えた2012年3月11日の昼ごろ、岩手県陸前高田市の海岸で津波を耐え抜いた「奇跡の一本松」を訪問。深い感銘を受け、その場でバイオリンを取り出し鎮魂曲の演奏を始めた。

偶然現場に居合わせた盛岡市在住のアマチュア写真家、太田信子さん(73)がその姿を撮影。「レクイエム」と題したこの作品は、震災をテーマにした日本財団主催の写真コンクールで最優秀賞に輝くなど高い評価を得た。

「日本財団写真・動画コンクール2012」でグランプリを受賞した太田信子さんの作品『レクイエム』 (日本財団提供)

2人は今月16日、岩手県がパリで開いた県産品を紹介するイベントで再会した。太田さんは当時のギトリス氏の演奏を「神と対話しているかのような厳かな雰囲気だった。感動で凍り付きそうになった」と振り返る。

ギトリス氏は原発について「原子力そのものが悪いわけではない。問題は使う人間の側にある」と述べ、事故の危険は克服できると強調。人類の英知を高めるためには「金もうけ一辺倒ではいけない。芸術を愛する豊かな感性を育むため、教育に力を入れなければならない」と語った。

「日本は大好きな国だ。友人もたくさんいる」と話すギトリス氏は、1980年代の初来日以降ほぼ年1回のペースで日本を訪れ、被災地を含む各地で演奏を続ける。第1原発事故への対応は「数世紀も続く仕事になるだろう」と懸念する一方で、「次世代の子供たちがよりよい世界を築くことを期待する」と一刻も早い復興を願っている。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

  • [2017.01.26]
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