[ニュース]「自然生かした観光事業を」=北方四島でツアー開発模索−知床観光協会の池上さん
[2017.06.10] 他の言語で読む : ENGLISH | Русский |

北方四島の元島民らが旅券や査証(ビザ)を取得せずに島を訪れる「ビザなし交流」。2017年度最初の訪問団が、5月19〜22日に国後島を訪れ、将来の「共同経済活動」についてロシア人の住民と意見交換した。北海道の知床羅臼町観光協会事務局長の池上美穂さん(37)=羅臼町=は「自然を生かした観光事業ができたら」と共同開発に期待を寄せる。

ビザなし交流で訪れた国後島・古釜布の家庭でロシア人の住民らと記念撮影する池上美穂さん(中央)=5月20日[池上さん提供](時事)

同協会は、知床半島の近海でクジラやイルカウオッチングの観光船の紹介などを行っている。池上さんは、国後島の自然や観光資源を自分の目で確かめたいと思い、今回初めて参加した。「知床と4島にいる動物の生活圏は似ているはず。島にどのような自然が残っているのか知りたかった」

山林などの自然区域に入ることはかなわなかったが、爺爺(ちゃちゃ)岳周辺など島の北東部には開発の手が延びていないと島民から聞いた。「羅臼町から4島まで観光船を出し、知床と同じように海上から野生動物や巣作りをしている鳥を見てもらいたい」と話す。

島の中心地・古釜布(ユジノクリリスク)の人口は約6000人で、羅臼町と同規模だ。池上さんは、観光地の整備が進めば町と同程度の年間約50万人の誘客も見込めると予想。「北海道の空港や港から4島との行き来ができるようにした上で、急激な開発や観光客の流入過多を防ぐため、チャーター便の設定などのマネジメントを日ロ双方で行う必要がある」と提案する。

一方、4日間かけて視察した古釜布は真新しいアパートやスポーツジムが立ち並ぶ一方、路上のあちこちに家庭ごみやドラム缶などの廃棄物が散乱。池上さんは「思った以上にインフラ整備が進んでいたが、廃棄物処理に取り組まないと」と懸念する。住民からも、ごみ処理施設や専門病院などの整備への強い希望が寄せられたという。

池上さんは「島の開発が進むと、日本人の元島民は自分の町として戻れなくなる」と複雑な表情を浮かべつつ、「観光による経済効果で、元島民が自己負担せずに島に行けるような形ができるといい」と語った。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

  • [2017.06.10]
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