【Photos】雪やこんこ
心を解き放つ冬祭り

齋藤 亮一 (撮影)【Profile】

[2012.02.20] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية | Русский |
“雪国”と呼ばれる日本の豪雪地帯。しんしんと降る雪の中での冬祭りは、ふさぎがちな人々の心をなごませる。雪と共生し、その美しさ、豊かさを知る人々の心温まる光景が広がる。BGMの童謡「雪」とあわせてお楽しみください(写真下部の再生ボタンをクリック)

心を解き放つ冬祭り

日本列島の日本海側の北陸や、東北地方は、世界でも有数の豪雪地帯だ。

冬の間、連日のように雪が降り、平地では1メートル以上に達し、山間部では2〜3メートルをも越える。日本の国土の約半分を占めるこうした豪雪地帯には、約2000万人もの人々が暮らしている。

雪国の冬は毎日が雪との戦いだ。道路の除雪や、屋根の雪下ろしなど厳しい生活が続く。しかし、長い冬の間に、それぞれの地域や集落で、昔から行われてきた祭や市が催され、人々の重苦しい気分を吹き飛ばしてくれる。祭の中には、数百年以上の伝統を持つものが少なくない。ここで紹介する斎藤亮一の作品は、雪国の人々がそうした“非日常の時間”に見せる生き生きとした表情を捉えたものだ。

「雪国の冬祭りには、幾日も雪が降り続き、ふさぎがちな人々の心を解き放つわくわくするような雰囲気に充ちている」と斎藤は言う。

「祭りの日が近付くと、大人も童心に帰っていく。雪と友だちだった頃のうきうきするような気分を想い出しながら心にエネルギーをチャージし、春までの日々を生き抜いていこうと思うのだ。そんな雪国の人々の気持ちが、写真を通して伝えられたらという思いを込めてシャッターをきった」

登場した冬祭りと定期市について

□紙風船上げ
武者絵や美人画を描いた巨大な紙風船が夜空舞い上がる冬の行事。秋田県仙北(せんぼく)市西木町上桧内(うえひのきない)で2月10日に行われる.江戸時代平賀源内が銅山の技術指導に訪れた際、熱気球の原理を使った遊びとして伝えられたともいわれている。

□川を渡る梵天
2月11日に秋田県大仙(だいせん)市の雄物川(おものがわ)河畔で行われる行事。梵天(ぼんてん)を奉納する対岸の伊豆山神社に向かって、色とりどりの意匠をこらした梵天をのせた舟が雄物川を渡る。

□犬っこまつり
2月の第2土曜日と翌日に行われる、約400年もの間続く秋田県湯沢地方の民俗行事。町内の広場や中央公園に雪のお堂っこや、犬の雪像が作られる。長い冬を元気に乗り切るための、市民に愛されるイベントになっている。

□横手のかまくら 
2月15日〜16日に行われる約400年の歴史を持つ小正月行事。雪山をくりぬいて作ったかまくらの中には水神様を祀り、賽銭をあげる客に子どもたちから甘酒や餅がふるまわれる。

□八戸のえんぶり
2月17日〜20日の開催。えんぶりとはその年の豊作を祈願するための舞。稲作の一連の動作である種まきや田植えなどの動作を表現している。長者山新羅神社に奉納の後、市の中心街で「一斉おどり」が賑やかに繰り広げられる。

□花輪の朝市
秋田県鹿角市で末尾に3と8がつく日に開催される。約400年の歴史があるともいわれ、約50の店舗が軒を連ねる。近郊で収穫された新鮮な野菜を始め、魚、果物、手作りの総菜、洋服、わら細工など何でも扱っている。

 ☆フランス国立ロレーヌ管弦楽団のコンサートマスターとして20年近く活躍するバイオリニストの竹澤健さんが、この“雪国”の写真を見ながら、思いを込めて童謡「雪」を弾いてくれた。澄んだバイオリンの音とともに、ぜひ、豪雪地帯の“なごみの時”をご覧ください。(BGMを聞くには写真下部の再生ボタンをクリックしてください)
バイオリン=竹澤 健

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  • [2012.02.20]

写真家。三木淳氏に師事。国内外の人物、風景、風土などを撮影。2000年に日本写真協会年度賞、2003年に第19回東川賞国内作家賞を受賞。主な写真集に『INDIA-下町劇場-』(清流出版)、『佳き日』(パイ インターナショナル)などがある。

website:http://www.saitoryoichi.com/

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