【Photos】桜ランドスケープ

齋藤 亮一 (撮影)【Profile】

[2012.04.03] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية | Русский |
桜は日本人にとって特別な花木だ。春の訪れを告げる桜の開花は、いにしえより人々の心を弾ませてきた。日本人はなぜ桜の下に集いたくなるのか。日本列島の各地で桜と人々が織りなす風景を追った。

桜前線とともに北上する旅をしてみたいと思うのは、私だけではないはずだ。そんなかなわぬ願いを、せめて映像で再現できぬものか。そんな妄想にとらわれて、何年か前から桜の季節にあちこち出かけるようになった。

撮り始めて分かったことだが、桜は必ずしも南から順番に咲くわけではないということだ。九州より東京が先に咲くこともあるし、同じ桜の木でも年によって開花時期や開花期間は思っている以上に違いがある。

最近はかなり詳細な開花情報があるので助かるが、天気のコントロールまでできるわけではない。わざわざ出かけたのに、「昨日一気に散ってしまいました」と言われ、呆然と葉桜を見上げたこともあった。またこの時期は案外雨が多く、うまくタイミングが合わないと、また来年ということになってしまう。

桜に限らず樹木は手ごわい被写体だ。何十年何百年も生きた木の放つ生命力や荘厳さ、枝を大きく広げたスケール感といったものは、なかなか写真には写ってくれない。それにチャレンジして行く撮影というのもすばらしいが、桜に関して私は、人との関わり合いを写したいと思っている。

なぜこの時期、人は気持ちがそわそわとするのか。日本人はなぜ桜の下に集いたくなるのか。毎年そんなことを思いながら、桜が作り出すソーシャル・ランドスケープを求めてシャッターを切っている。

撮影・文=斎藤 亮一

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  • [2012.04.03]

写真家。三木淳氏に師事。国内外の人物、風景、風土などを撮影。2000年に日本写真協会年度賞、2003年に第19回東川賞国内作家賞を受賞。主な写真集に『INDIA-下町劇場-』(清流出版)、『佳き日』(パイ インターナショナル)などがある。

website:http://www.saitoryoichi.com/

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