【Photos】立山 雲上の別天地

柳木 昭信 (撮影)【Profile】

[2013.01.25] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية | Русский |
中国、台湾などからの観光客に絶大なる人気の立山連峰。氷河期からの個体群であるライチョウが暮らす、太古の自然が登山者を魅了する。その四季折々の表情をネイチャーフォトグラファーが捉えた。

立山とともに育つ

富山市で育った僕にとって、立山は格別な存在。天気の良い日は富山市内からそびえ立つ雄姿を臨み、学校の遠足や林間学校で登山を楽しむ身近な山だった。写真学校を卒業後、山小屋でアルバイトをしながら、作品づくりに取り組んでいた時期もある。

日本列島の中央部には、南北に走る3つの山脈がある。飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈で、それぞれ北アルプス、中央アルプス、南アルプスと呼ばれている。立山は一つの山の名称ではなく、この北アルプスの北西端に連なる立山連峰の総称だ。

雄山(おやま:標高3003m)を中心として、北に大汝山(おおなんじやま:3015m)、南に浄土山(じょうどさん:2831m)が屹立(きつりつ)し、剱岳(つるぎだけ:2999m)、薬師岳(やくしだけ:2926m)など、3000m級の山々が連なっている。

静謐な純白の世界に魅せられて

毎年、4月中旬になると立山黒部アルペンルートが開通し、高さ20mの雪壁の間をバスが走りぬける。開通後から6月上旬にかけて1車線500mの区間が歩行者に開放され、雪壁のスケールを実感することができる。最近では、中国、台湾、韓国からも多数の観光客が訪れるようになっている。

立山の魅力は、厳冬期の純白の世界にある。見渡す限り雪に包まれた静謐(せいひつ)な世界は、向き合う者の言葉を失わせる。快晴の空のもとに広がる白銀の世界は、青とのコントラストでいっそう際立ち、太古の世界に足を踏み入れたかのように幻想的だ。

立山は世界でも有数の豪雪地帯。冬になるとシベリア大陸から寒気流が日本海に南下して、大量の水蒸気を発生させ雪雲を作る。こうした雪雲がびょうぶのような立山の峰々にぶつかり、大量の降雪をもたらすのだ。山に降る雪は吹き溜まり、谷間は20m以上の積雪となる。

立山では、北半球南限の3つの氷河が最近確認された。緯度(北緯36度)が低いのに氷河が形成されるのは類まれなる豪雪のためだと言われている。

20代から30代にかけて、アラスカやグリーンランドなど大自然の姿を撮影してきた。40代から本格的に立山を撮り始めて20年以上が経つが、毎年、その表情は異なり、常に新鮮な驚きがある。

撮影と文=柳木 昭信

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  • [2013.01.25]

写真家。富山県富山市生まれ。アラスカ、オセアニア、グリーンランド、パタゴニア、ヨーロッパアルプスなどの大自然をテーマに写真を撮り続ける。写真集に、『アラスカ』(ぎょうせい)や『残したい地球の自然』(PIE)などがある。

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