【Photos】東京スカイツリー成長絵巻

佐藤 信太郎 (撮影)【Profile】

[2013.05.22] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية | Русский |
東京スカイツリーがオープンして、5月22日で満1年を迎えた。今年2月には来場者数が500万人を突破。今や押しも押されもせぬ東京の新名所だ。完成までの4年間のプロセスを写真で追った。

成長プロセスを映し出す

これらの写真は、東京の新しいシンボルとなった東京スカイツリーが完成するまでの過程と、その背景に広がる周辺の街、人々の暮らしを撮影したものだ。 

日々変化するスカイツリーと街の表情を捉えるために、機動性の高いデジタルカメラを使用した。そして被写体をより精密に描写するために、複数のカットをつなぎ合わせて1枚の写真を作るという手法をとった。この方法により、ディテールを損なうことなく東京という都市の広がりを捉えることができた。

複数のショットを合成した1枚の写真には、複数の瞬間、複数の焦点が存在している。人間は1つの場面を見ている時も、せわしなく眼球を動かして複数のイメージに焦点を合わせながら、頭の中でそれらを1つのものとして組み合わせている。だからデジタルカメラを使ったこの撮影方法は、むしろ人間の自然なものの見方に少しだけ近くなっているとも言える。

スカイツリー三十六景

スカイツリーを取り巻く街の表情を撮影していくうちに、東京の原型である江戸を描いた浮世絵に関心が向くようになった。その風景の中では、多くの人々がそれぞれに様々なことをしている。細かく描かれた情景を見ていると、多視点的な画面の中を視線は一点に留まることなく、あちこちをさまようことになる。

そのような昔の絵の在り方は、写真家としての自分の想像力をいたく刺激する。特に富士山を借景としながら庶民の暮らしを描いた葛飾北斎(1760-1849)の「富嶽三十六景」には、強い感動を覚える。

東京という都市は、江戸からの歴史、大地震や戦争の記憶などが集積され、その土地に固有の重層的な雰囲気を醸し出している。スカイツリーは、そうした東京の歴史的な文脈にランドマークとしての新たな記憶を加えた。完成して1年。その近未来的な塔は、過去から未来へと続く時間の流れを貫いて静かに屹立(きつりつ)している。

その姿を目の当たりにすると、現在の東京とは異なる別世界に紛れ込んでしまったかのような錯覚に襲われる。

日常の風景を異化してしまうその姿に、めまいを覚えるのは私だけだろうか。

撮影と文=佐藤信太郎

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  • [2013.05.22]

1969年東京生まれ。東京綜合写真専門学校、早稲田大学第一文学部卒業後、共同通信社入社。2002年からフリー。新陳代謝を繰り返す東京をテーマに制作活動を続ける。主な写真展に「東京|天空樹 Risen in the East」(Photo Gallery International)「Reinventing Tokyo」(Mead Art Museum)。 写真集に『非常階段東京 TWILIGHT ZONE』、『東京|天空樹 Risen in the East』(ともに青幻舎)がある。Japan Exposuresに、紹介記事インタビュー記事が掲載されている。2009年写真協会賞新人賞、千葉市芸術文化新人賞、2012年林忠彦賞受賞。

website:http://sato-shintaro.com/

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