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若者の引退希望年齢は65歳 : 働く高齢者862万人の現実

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日本財団の18歳意識調査で、「働くのは65歳まで」と考えている人が4割を超えた。医療の進歩で寿命は延びる一方、少子化は止まらず、支え手不足が深刻化しているというのに…「のんびり年金生活」できるユートピアはどこかにあるのかしら?  

日本財団が17~19歳の男女1000人を対象に実施した意識調査で、「あなたは何歳まで働きたいですか」との問いに対して、「65歳未満」「65歳」の合計が42.8%だった。人生100年時代、政府は高齢者の力を活用しようとあの手この手と必死だが、若者たちには、厳しい現実はまだ伝わっていないようだ。

「65歳」「65歳未満」と答えた人の自由回答には、「のんびり年金生活をしたいから」「その年ぐらいが限界な気がする」「定年まで働いたら、あとは年金で生活できるから」「体力的にそれぐらいと思う」などの声があった。

総務省によると、2019年9月15日時点で65歳以上の推計人口は3588万人で、総人口に占める割合が28.4%と過去最高の水準となった。少子高齢化が進む中で、「労働力不足」や「支え手不足」が深刻な課題となりつつある。

実際に、65歳以上の就業者数(アルバイト、パートなどの非正規雇用も含む)は2018年時点で862万人となり過去最高を更新。就業者総数に占める高齢者の割合も12.9%と過去最高を更新した。人口のボリュームゾーンである団塊の世代が65歳に達した2012年以降、高齢就業者数の増加のペースが上がっている。

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2022年以降は医療や介護にかかる社会保障費が一段と膨張するとみられ、支え手を増やすための退職年齢の引き上げや、高齢者の医療費自己負担の引き上げも今後、検討されることになる。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(2017年推計)によれば、2065年の高齢化率は38.4%。高齢化はさらに進み、今以上に、支え手不足が深刻になっていそうだ。2019年の18歳は、その年に64歳になる。残念ながら、「65歳で引退!年金でのんびり過ごす」というバラ色の老後は待っていない可能性が高そう。

バナー写真 : PIXTA

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