夏木マリというエネルギッシュな“総合力” ——その国内外における挑戦的な軌跡
世界でブレイクスルーする女性たち
[2015.04.03] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | FRANÇAIS | ESPAÑOL | العربية |

セクシーな歌謡曲でデビューした夏木マリ。しかし8年のキャバレー回りを経て40代で自己発見。海外公演、途上国の母子支援など、歌手・俳優を超えたマルチな活動で、若い女性たちの大きな支援を受ける。なぜ、挑戦し続けるのか…。

夏木 マリ

夏木 マリNATSUKI Mari1973年「絹の靴下」で歌手として再デビュー。多くの映画・テレビドラマにも出演し、1984年芸術選奨文部大臣新人賞、2003年日本アカデミー賞優秀助演女優賞等受賞。1993年からコンセプチュアルアートシアター「印象派」で海外公演、2009年から支援活動「One of Loveプロジェクト」をスタート。他、ナレーション、ラジオ番組パーソナリティー、Webマガジン編集長、本の執筆など多岐に渡って第一線で活躍。2014年東京五輪顧問就任。2015年には4月から全国18か所を回るライブツアーを行う。

「私には才能がない」という原点

——夏木マリさんの最近のステージは非常にエネルギッシュで、若い女性ファンの根強い支持を受けていますね。なんでこんなにエネルギッシュでいられるのですか。

印象派NÉO Vol.2 “灰かぶりのシンデレラ” (撮影=HIRO KIMURA)

夏木マリ 原点に戻れば、「私には才能がない」と思っているんですね。それで、1993年に“絶望からの脱出”ということで自作の「印象派」を立ち上げ、作品をつくり続けてきました。常に新人のつもりで、面白そうだと思ったものをピックしてやっている。だから一つのフィールドじゃない。いろいろなアプローチから自分を発見していっているので、きっとエネルギッシュに見えるんだと思います。歌い、演じ、創る、そこから夏木マリという自分自身を発見してきた感じです。

——でも今は、存在感や信頼感がある。

夏木 好きなことをしているように見えるんでしょうね。夏木マリというコンテンツをキープするのは大変です。いろんなことを思い付くので、自分自身で収拾がつかなくなっちゃう。いまひとつ中途半端。だから、“総合力”でいくしかないと、いつかふっ切ったんだと思います。 

海外で受け、日本で受け入られなかった代表作「印象派」

——代表作は「印象派」(※1)ですね。

夏木 「印象派」を始めたのは1993年でした。どうしてフランスやポーランドに行ったかというと、作品が日本では受け入れられなかったからです。アヴァンギャルドな作品だったので、新聞には「自己満足の舞台」と書かれ、理解されない舞台だったんですね。だから、海外でどういう反応があるのかと思って行きました。パリやポーランド、ドイツではブラボーの連続。日本とは雲泥の差の喜びようでした。アヴィニョンやエジンバラへも行きました。でも、日本では観てもらえない。なぜだろうかなという自己反省とともに帰国して、「印象派」をやるための自分のオフィスを立ち上げたんです。

印象派NÉO Vol.2 “灰かぶりのシンデレラ” (撮影=HIRO KIMURA)

——海外ではむしろ前向きなチャレンジだと思われたのではないですか。

夏木 そうなんです。日本人なら着物やいろいろな伝統を引きずっていくけど、あなたは全然日本の香りがしないと。一方で、初めての海外インタビューでは政治について聞かれて、きついなと思いました。フィロソフィーはどこにあるのかと聞かれ、海外でブラッシュアップされて、鍛えられました。「印象派」をつくるからには肝を据えてやらなきゃいけないなと。

エチオピアなどの母子家庭支援「One of Love」活動

——もう一つ興味深いのは、2010年から始められた「One of Loveプロジェクト」という支援活動ですね。きっかけは何ですか。

One of Love ~途上国の子どもたちに未来の仕事を贈るプロジェクトGIG~LIVE(撮影=RYUGO SAITO)

夏木 私には子どもがいないので、初めは行ったことのない3カ国を選んで、チャイルドスポンサーのためにお金だけを送っていたんです。その後、私にミュージシャンのパートナーができて旅行の話になったときに、楽器を持って子どもたちに会いに行ったんです。向こうに行くと、こちらが非常にハッピーになって帰ってくる旅でした。それで支援ということにも繋がるように一つの団体として「One of Loveプロジェクト」を立ち上げたんです。

最初はエチオピアで、今も子どもたちの教育環境と働く女性の労働環境を整える支援をしています。毎年6月21日の「世界音楽の日」にライブ「GIG」をやり、支援してくださる花屋さんでバラを買っていただいた支援金と共に今はエチオピアからスタートしています。

(※1)^ 「印象派」舞台:芸術、言葉、空間に対して身体能力を究めた夏木マリの芸術表現で、“コンセプチュアルアートシアター”として、イギリス・フランス・ドイツ・ポーランドなどの海外講演でも高い評価を得てきた。これまで10作品を作り上げ、演出と演技を手掛ける。2007年にはパフォーマンス集団MNT(マリナツキテロワール)を結成し、後進の育成に努めながら、今後国内外での舞台公演を視野に望んでいる。2014年は「シンデレラ」を題材として、美の象徴を求めつつ新たな解釈を加えた。

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