特集 日本のロボットは人に寄り添う
ロボット研究者の夢の祭典、ロボカップ開催
[2012.05.23] 他の言語で読む : ENGLISH | 简体字 | 繁體字 | العربية |

人型ロボットのサッカーチームが人間のW杯優勝チームに勝つ——。そんな夢のような目標を持って始まった研究プロジェクト「ロボカップ」。5月に大阪で開催されたジャパンオープン2012には73チーム、456人が参加、大いに盛り上がった。

サッカーW杯優勝チームに勝てる人型ロボットチームを目指す

日本生まれの人型ロボットによる競技会「ロボカップジャパンオープン2012大阪」が5月3~5日、大阪工業大学で開催された。参加者は人工知能やロボット工学などを専攻、研究する学生や研究者たち。今回は73チーム、456人が参加し、6月のメキシコシティーにおける世界大会の出場権をかけ、熱戦が繰り広げられた。ロボカップ世界大会は16回目で、毎回40カ国以上のチームが参加している。

ロボカップ世界大会進出をかけてロボットたちが火花を散らす(左)。来場者には子供も多い。彼らが将来のロボット研究を支えてくれるのかもしれない(右)。

ロボカップとは、1992年に日本のロボット研究者らが提唱した、自分で考えて動く自律移動型ヒューマノイドロボットによる競技大会のこと。目指すは2050年に人間のサッカーワールドカップの優勝チームに勝てるチームを作ることだ。プロジェクト発足当初は「ロボカップサッカー」のみだったが、災害現場で役立つロボットを研究する「ロボカップレスキュー」、日常生活における人間との共存を考える「ロボカップ@ホーム」、19歳以下の子供たちが参加する「ロボカップジュニア」も加わった。

迫力満点の「中型ロボットリーグ」

スケールの大きな中型ロボットリーグは見ごたえ十分。

数ある部門のなかでも参加者が最も多いのはやはりロボカップサッカーだ。サッカーには自律型ロボットによる4種類のリーグと、コンピュータ上で対戦するシミュレーションリーグの計5リーグがある。

その中で最も迫力があるのは「中型ロボットリーグ」だ。試合は縦横50cm未満のロボット5台を1チームとし、人間と同じサッカーボールを使って行われる。

18m×12mのフィールドで、思い通りにロボットが動かないチームもあれば、うまくパスをつないでゴールを決めるチームもある。滑らかに動くロボットだけを見るとリモコン操作のように思えるが、人間が動かしているのではない。あくまでロボットは“自律型”で、ボディに搭載されたカメラとパソコンで自分とボールの位置を判断しながら動いている。

一方、「小型ロボットリーグ」は直径18cm、高さ15cmの円筒形小型ロボットが戦い、スピーディな展開が魅力。こちらは個々のロボットに搭載したカメラと、フィールド上部の櫓に取り付けられたカメラから視覚情報を得る。ロボットの動きは軽快で、硬いゴルフボールを使用するため、ときに場外へボールが飛び出すくらい勢いがある。

何カ月間もかけて作り上げたロボットの晴れの舞台。出場者の表情は真剣そのものだ(左)。各チームが同じロボットを使う標準プラットフォームリーグはプログラミングが勝負の分かれ目(右)。

ロボカップに挑戦する若者に希望が見えた

「ヒューマノイドリーグ」も違った意味で手に汗握る展開だ。二足歩行のロボットがボールをけるためには軸足でバランスを取り、もう一方の足を振りぬかねばならない。その反動で転倒しそうになるロボットも少なくなかった。

人間のようにサッカーができるヒューマノイドを開発することが、いかに困難なことかは言うまでもない。サッカーの世界チャンピオンチームに勝つという目標が荒唐無稽だと感じる人もいることだろう。しかし、会場に集まった10代、20代の若者が真剣にロボットと向き合う姿には希望のようなものが見えた。チェスや将棋でロボットが人間に勝ったように、2050年にはサッカーでもロボットの夢がかなうかもしれない。

プラットフォームリーグに用いられるAldebaran Robotics社製のヒューマノイドロボット「NAO」。デモンストレーションではバランス感覚の良さをアピールしていた。

取材・文=林 愛子
撮影=大久保 惠造

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