特集 タカラヅカ100周年
宝塚歌劇団の100年 Part 2
人気の秘けつ、確たる組織力と“新作主義”
[2014.05.09] 他の言語で読む : ESPAÑOL |

音楽学校による高水準の人材供給システムや経営母体の電鉄企業に支えられ、「オンリーワン」の世界を築き上げたタカラヅカ。ゲームや韓国ドラマなどとのコラボレーションに取り組むとともに、海外自主興行にも挑戦し始めた。

「東の東大、西の宝塚」が高水準の人材を供給

どこにもない「オンリーワン」の世界を築き上げた宝塚歌劇団。100年も続いた理由は何だろうか。

まず、タカラジェンヌになるための必須条件である宝塚音楽学校の存在が挙げられる。夢の舞台を目指す志望者が毎年全国から集まり、合格するには「東の東大、西の宝塚」とも言われる高倍率をくぐらなければならない。そして2年間、バレエや日本舞踊、声楽、ピアノ、演劇などをみっちり教え込む。このシステムが、一定以上のレベルを備えた人材を供給し続けている。

それによって常に新陳代謝が可能になり、トップスターを頂点とするピラミッド型のスターシステムを維持できるという仕組み。大勢のタカラジェンヌの中から〝ごひいき〟を見いだして応援する、というファンの心理もつかんでいる。

2012年花組公演トップの蘭寿とむ

出演者だけでなく、脚本・演出家も育成しているのも強みだ。新人時代から演出助手などとして舞台に携わり、力を付けていく。基本的に新作主義であるため、宝塚ならではの性質や特徴を知り抜いたスタッフがそろっていることは必要不可欠といえる。

阪急電鉄という手堅い企業が経営母体であることも大きな要素だ。100年の歴史の中では苦難の時期もあったが、そこに注がれ続けた資金と熱意は並々ならぬものだろう。今や阪急阪神ホールディングスにとって、プロ野球の阪神タイガースと並ぶグループの顔となっている。

宝塚、東京を拠点に全国ツアーや巡回も

花・月・雪・星・宙の5組があり、それぞれ組子(組に所属するメンバー)は約80人。最上級生の組長や、公演で主役を演じるトップスター、その相手役を務めるトップ娘役、さらに次のスターと目される2番手、3番手の男役らがいる。

そのほか、キャリアと実力を備えた上級生たちが所属する専科があり、必要に応じて各組の公演に出演している。

拠点は宝塚大劇場と東京宝塚劇場の2カ所。各組が順番に年間10作品を上演し、コンスタントに公演を行っている。大劇場に併設された宝塚バウホールでは、育成を目的とした若手主演の作品や大劇場とは一味違う作品を上演。大阪の劇場で公演することもある。公演の一部は全国ツアーや名古屋、福岡の劇場へも巡回する。

芸能界にはタカラヅカ出身者ばかり

歌劇団にはこれまで4426人が入団。卒業したタカラジェンヌたちは、その後も舞台や映像で活躍しているケースも多く、歌って踊れる実力派女優が芸能界に輩出している。

宝塚歌劇100周年を記念したイベント「夢の祭典」にはそうそうたる卒業生が集結した(4月4日、宝塚大劇場)

八千草薫、乙羽信子、朝丘雪路。ミュージカル界を支える鳳蘭や大地真央、麻実れい、天海祐希、安蘭けい。娘役出身なら黒木瞳、純名里沙、檀れい、紺野まひるら、枚挙にいとまがない。日本の大型ミュージカルなどを見れば、タカラヅカ出身者を見ない方が珍しい。

今年4月初めに開催された宝塚歌劇100周年記念式典や、記念ショー「夢の祭典」ではOGたちが古巣の大劇場に集結。そうそうたる卒業生の姿には、あらためて歴史の重みを感じさせた。

2015年には2回目の台湾公演へ

宝塚歌劇100周年を記念して開かれた歴代トップスターらによる「夢の祭典」(2014年4月4日、宝塚大劇場)

近年、新しい分野とコラボレーションした作品も生まれている。戦国武将をスタイリッシュに描いた人気ゲーム「戦国BASARA」やペ・ヨンジュン主演の韓国歴史ドラマ「太王四神記」など、他ジャンルの人気作品も舞台化。女性に人気のキャラクター「ハローキティ」ともタッグを組み、双方の世界観を融合したグッズ販売やステージショー作りを手掛けている。それらは宝塚歌劇に新鮮な風を呼び込み、新たなファン開拓にもつながっているようだ。

宝塚歌劇のまなざしは海外へも向けられている。2013年4月には初の海外自主興行として星組が台湾公演を実施。それ以前の17カ国24都市の海外公演はいずれも国際親善や文化交流を目的とした要請・招待だったが、今回はスポンサー探しやチケット販売までを自ら手掛けた。9日間12ステージが完売。約1万8000人が観劇し、商業的な海外展開の可能性を探る大きな一歩となった。2015年8月には第2回台湾公演を予定し、花組が「ベルサイユのばら」などを上演するという。

創設者小林一三は「変化そのものが偉大な芸術である」という言葉を残している。それは彼が提唱した「清く、正しく、美しく」というモットーを受け継ぐ一方、新しい時代へと果敢に挑戦していく現在の宝塚歌劇につながっているのではないだろうか。

取材・文=神谷千晶(神戸新聞社文化生活部記者)
写真提供=神戸新聞社
バナー画像=宝塚大劇場外観(4月10日、nippon.com編集部撮影)

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  • [2014.05.09]
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