鉄道列島ニッポン

西武線を走ったきゃりーぱみゅぱみゅ電車—「SEIBU KPP TRAIN」

文化 音楽

日本の「カワイイ」文化を体現するきゃりーぱみゅぱみゅさんが電車になった。鉄道会社と人気アーティストによる異色の組み合わせは、大きな注目を浴びた。

電車全体をきゃりーさんの特別仕様に

西武鉄道は、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんをテーマにした電車「SEIBU KPP TRAIN」を6月から9月まで運行した。池袋線用の9000系電車を通常の黄色からピンク色に塗り替えて、代表曲などのビジュアルイメージで装飾。沿線の東京・西東京市(旧田無市)出身のきゃりーさんとのコラボレーションで、沿線住民に加えて国内外の多くのファンに西武線をアピールした。

車両のデザインに用いたのは、「PON PON PON」「つけまつける」「ファッションモンスター」「もんだいガール」の4曲。車体にはそれぞれのミュージックビデオの衣装を着たきゃりーさんの大きな写真をラッピングした。車内も普段は広告が掲示される中吊りにビデオの場面写真を飾るなど、電車全体をきゃりーさんの特別仕様にした。

ピンクの車体が目立つ「SEIBU KPP TRAIN」。10両編成の電車のうち、1・10号車は車掌の制服をイメージした服装のきゃりーさんが乗客を出迎えた(写真提供=西武鉄道)

2014年のヒット曲「ファッションモンスター」のビジュアルで彩られた6号車の車内。開くドアに注意を訴えるステッカー(左上)にもきゃりーさんが

「きゃりー車掌」にファン喜ぶ

6月4日に池袋駅で行われた式典には、きゃりーさん本人が出席。「昔から乗っていたゆかりのある電車が『わたし色』に染まっていてとてもうれしい」と挨拶し、「出発しんこー!」の掛け声で「KPP TRAIN」の運行開始を宣言した。

その後、ファンクラブ会員を中心に若者や家族連れなど328人が乗車して、初回運行イベントが開かれた。車両デザインのモチーフになった曲のほか、「ふりそでーしょん」「にんじゃりばんばん」などがBGMとして流れる中、電車は池袋―保谷(西東京市)間を往復。車掌役を務めたきゃりーさんは、沿線名所ガイドの車内アナウンスをするとともに、駅構内で使用される出発アナウンスを乗客と一緒に録音した。

折り返し点の保谷で行われたのは、このイベント最大の目玉となる、「きゃりー車掌」による車内巡回だ。きゃりーさんが乗客のきっぷを見ながら各車両を回ると、車内は大歓声に包まれた。6号車に乗っていたノルベルト・サンチェスさんは横浜市内の大学に通う米国からの留学生。「きゃりーはカラフルなところが好き。近くで会ったのは初めてで、とてもうれしい」と笑顔を見せた。

巡回が終わると、電車は池袋に向かって再び出発し、乗客は車内に流れる曲を聞きながら、残りの時間を楽しんだ。池袋駅で降車後に車両を撮影していた中学2年生の上方夢香さんは、「デザインは予想以上で、超かわいい」と、大好きなきゃりーさんの電車に満足した様子だった。

初回運行では通過する途中駅のホームから手を振る親子連れの姿が多く見られるなど、鉄道ファン以外からも注目度が高った「SEIBU KPP TRAIN」。その人気ぶりから、池袋線のみで運行する当初の予定を変更し、7月30日からは新宿線を走ることになった。きゃりーさんの出身地・田無を通る同路線で9月末までラストスパートを見せた。

式典で出発の合図をするきゃりーさん(左)と後藤高志西武鉄道会長

きっぷを見せるファンに手を振りながら、「車掌」として電車を巡回するきゃりーさん

ノルベルト・サンチェスさん(先頭左)と同じ大学に台湾から留学する陳又瑜(チェン・ユウユウ)さん(先頭右)。「きゃりーの曲を聞いているとすぐに元気になれる」という

小学4年の市川凛さん(中央)と父の直且さん(右)は、親子できゃりーさんのファン

きゃりーさん自身や楽曲の世界を表現したコスプレ姿の参加者も多かった

中学生の上方夢香さんに、きゃりーさんと同じポーズを取ってもらった

イベント終了後、ファンに手を振るきゃりーさん(写真提供=西武鉄道)

フォトギャラリー

(写真提供=西武鉄道)

バナー写真提供=西武鉄道 撮影=川井 聡(提供写真を除く)

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