特集 ニッポンの“水”
首都圏を洪水から守る地下神殿「首都圏外郭放水路」
[2016.11.22]

まるで地下にある巨大神殿のような調圧水槽。しかし、この「国土交通省 首都圏外郭放水路」の機能や実績はあまり知られていない。完成から10年間で、すでに100回以上も水を取り込み、洪水被害を大幅に軽減してきた世界最大級の地下洪水対策施設を紹介する。

“特撮の聖地”としても大人気

江戸川沿いのサッカーグラウンドの隅に何の変哲もない小屋がある。そこから116段の階段を降りると現れるのが、長さ177メートル、幅78メートル、高さ18メートルの巨大地下空間。そこには、1つの重さが500トンもあるコンクリート製の柱59本が整然と並ぶ。その荘厳な雰囲気から「地下神殿」と呼ばれ、世界中に熱狂的なファンを持つ首都圏外郭放水路の調圧水槽だ。所在地は埼玉県春日部市。人気特撮テレビドラマ「仮面ライダー」シリーズなどのロケで頻繁に使用されることから“特撮の聖地”として知られ、ファッション雑誌や人気アーティストのミュージックビデオ、映画などの撮影地として多数利用されている。

神々しい雰囲気を醸し出す調圧水槽

調圧水槽に併設される庄和排水機場内には地底探検ミュージアム「龍Q館」がある。そこでの施設説明や展示鑑賞の後、実際に調圧水槽内に入ることができる見学会は、予約がなかなか取れないほどの人気だ。平日(当面は月1回土曜日もテスト開放)のみの開放である上、施設稼働時や補修・点検時は急きょ中止となるにもかかわらず、完成以来の来館者は40万人を超えている。写真撮影も可能で、特撮ファンや子どもたちは、ヒーローが使う武器やフィギュアを持ち込んで記念撮影を楽しむ。

左上)調圧水槽の上部はサッカーグラウンドとして利用されており、そこにある小屋が入り口となっている 右上)116段の階段を下りると、地下神殿が現れる 下)取材日は整備機材を降ろすために、天井の一部が開いていた。自然光に照らされる調圧水槽を見る機会は貴重だ

国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所の矢部隆幸(やべ・たかゆき)さんは、こう語る。
「調圧水槽のビジュアルが話題になることで、首都圏外郭放水路の施設自体に興味を持ってくれる方が増えました。見学会に参加して龍Q館の展示や映像を見てもらえれば、施設の効果や実績を理解するだけでなく、洪水の怖さを学んで防災意識も高めていただける。そう考えて、メディアの取材や撮影に積極的に協力しています」

左上)施設を案内してくれた首都圏外郭放水路管理支所・管理第一係長の矢部さん 右上)矢部さんと調圧水槽の柱の比較 下)清掃されている見学スペースを一歩離れると、水が流入した際に残された土砂が残り、水害の恐ろしさを感じさせる

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