特集 ニッポンの“水”
節水ノズルで世界の環境保全に貢献—東大阪の町工場発ベンチャー・DG TAKANOの挑戦
[2016.10.14]

毎夏のように水不足が報じられる日本。そのため、数多くの節水グッズが生み出されている中で、近年大ヒットしているのが株式会社DG TAKANOの高野代表が開発した節水ノズル「Bubble90」だ。平均9割という節水率と高い洗浄力を併せ持ち、飲食店などで一気に導入が進んでいる。

「水資源小国」日本で生まれたヒット商品

海に囲まれる島国で、降水量も多く、水が豊富なイメージのある日本。しかし、意外なことに実際には水資源(利用可能な淡水)が非常に少ない。1人が最大限利用できる水の量である水資源賦存(ふぞん)量は、1年間に世界平均が約8000立方メートルなのに対し、日本は約3400立方メートルと半分以下である。特に、首都東京を中心とした関東地域は人口が多く、1人の水資源賦存量は北アフリカや中東と同等の低水準。さらに、急峻(きゅうしゅん)な地形で河川も短い上に、梅雨や台風シーズンに降雨が集中しているため、雨水はすぐに海に流出してしまう(参考:国土交通省「平成27年版日本の水資源の現況」)。

そのため夏になると、毎年のように日本各地で水不足が起こり、全国的に節水ムードとなる。そして、今では日本人の約8割が日々節水を心掛けている(参考:内閣府「水循環に関する世論調査」)。

驚異の節水率と強力な洗浄力を持つ「Bubble90」

東大阪にあるDG TAKANOの製造工場

そうした状況から、日本には優れた節水グッズがたくさん生まれてきた。その中で、最近注目を集めているのが、大阪府東大阪市にある株式会社DG TAKANOの節水ノズル「Bubble90」だ。流し洗いに使われる水を80〜95%も節約でき、なおかつ電力も使わずに洗浄力を上げるという優れ物だ。

開発者で代表を務める高野雅彰(たかの・まさあき)さんは、Bubble90の最大の特長をこう語る。
「高い節水率で洗浄力も落とさない秘密は、Bubble90が発生させる“脈動流”にあります。空気を含んだ玉状の水を連続して放出させる脈動流は、半導体の洗浄などに使われている技術で、高級な温水洗浄便座などにも採用されています。しかし、それらは電力を利用します。Bubble90では、世界で初めて水圧だけで脈動流を発生する技術を開発して、小さなノズルに組み込んだのです」

Bubble90を手にする高野代表

蛇口に付けるだけで高い節水・洗浄効果

通常の水道から出てくる水を洗浄に使うと、一部の水のみが物体に当たり、残りの大半はその水の上を滑り落ち、物体に触れることはない。水量を増やした場合、水を押し付ける力は増すが、上を滑り落ちる無駄な水の量も一気に増えてしまう。それが、Bubble90の発生させる脈動流の場合、勢いよく放出された水の玉が間隔を空けて連続して打ち付けるので、上を滑り落ちる無駄な水が少ない上に、波が押し寄せるような振動も加わって洗浄力がアップするのだ。

高速シャッター撮影したBubble90の脈動流

電力を使わず、脈動流を水圧のみで発生させる独創的な技術で、Bubble90は国内外で高く評価されている。日本を代表する大手企業が数多く出品する「”超”モノづくり部品大賞」においても、2009年の大賞に輝いた。

そして、現在はいくつもの大手外食チェーンに採用され、工場は24時間フル稼働中だという。
「Bubble90は世界中の蛇口に簡単に取り付けることができるので、導入も簡単。水流の調整もでき、目詰まりも一発で解消できるメンテナンスフリーの商品です。節水効果や洗浄力に加えて、そうした使い勝手を兼ね備えていることも高く評価していただいています」(高野代表)


↑Bubble90の脈動流、節水効果や洗浄力は、上の動画をご覧ください。

この記事につけられたタグ:
  • [2016.10.14]
関連記事
この特集の他の記事
  • 首都圏を洪水から守る地下神殿「首都圏外郭放水路」まるで地下にある巨大神殿のような調圧水槽。しかし、この「国土交通省 首都圏外郭放水路」の機能や実績はあまり知られていない。完成から10年間で、すでに100回以上も水を取り込み、洪水被害を大幅に軽減してきた世界最大級の地下洪水対策施設を紹介する。
  • 安全性とおいしさを追求する—日本の水道水蛇口から出てくる水道水。この身近な必需品にも、細部にまで質にこだわる日本人の個性が発揮されている。目指すのは、安全・安心で、しかもおいしい水。それを担う水道局では目標達成に向けて、努力が続けられている。

ピックアップ動画

最新の特集

バナーエリア2
  • nippon.comコラム
  • in the news
  • シンポジウム報告