放射線の人体への影響

放射線の人体への影響

IAEAやEU各国より厳しい日本の安全基準

地球上のどこにいても、人間は宇宙や大地からの放射線、また体内に摂取された食物を通じて放射線を浴びている。また、医療現場においてもCTスキャンやX線撮影などの検査や治療目的で放射線が使用されることも多い。国際放射線防護委員会(ICRP)は、自然放射能や医療目的以外に浴びてよい年間の放射線量の上限を1ミリシーベルトと定めている。

一度に大量の放射線を浴びると危険度は高くなり、発がんリスクが高くなるなど、身体への悪影響があるとされるラインは100ミリシーベルト以上と推定される。また、7000ミリシーベルト以上の放射線を浴びると100%死に至るとされている。

一方、日本では、原発での作業に従事する人の上限は年間100ミリシーベルトとされていたが、今回の事故を受けて250ミリシーベルトまで引き上げられた。こうした作業員には、「放射線管理手帳」が配布されており、一人ひとりの被ばく線量や健康診断結果などを記載して管理している。これがないと原子力発電所などの放射線管理区域には立ち入れないことになっている。

人体が放射線を浴びる「被ばく」には、体の外側から放射線を浴びる「外部被ばく」と、食品や水などを通じて体内に取り込んだ放射性物質から浴びる「内部被ばく」の2種類がある。内部被ばくの場合、放射性物質が体内で消滅するか、体外へ排出されるまで放射線を浴び続けることになるので、注意しなければならない。

政府は、内部被ばくを防止するため、食品、水道水などに安全基準(暫定規制値)を設けて、放射性物質に汚染された食品等が流通しないようにしている。この基準は非常に厳しいもので、規制値レベルの飲料水や牛乳を1年間毎日飲み続けたり、野菜等を毎日食べ続けたりとしても、健康被害が出るといわれる100ミリシーベルトには遠く及ばない。

また、日本の安全基準はIAEAや、チェルノブイリ事故の直後にEU各国で定められた基準よりも厳しい数値となっている。

実際に、3月21日にホウレンソウなど一部の野菜で基準を上回る放射性ヨウ素やセシウムが検出され、出荷制限措置が取られた。半減期が8日の放射性ヨウ素が中心だったこともあり、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県産のものについては、4月中に出荷制限は解除された。

飲食物のヨウ素131の暫定規制値

  日本 IAEA EU
飲料水 300ベクレル 3000ベクレル 400ベクレル
牛乳・乳製品 300ベクレル 500ベクレル
野菜類(根菜、芋類を除く) 2000ベクレル 3000ベクレル
魚介類 2000ベクレル

※いずれも1㎏あたり
※EUはチェルノブイリ事故の翌年1987年に設定された数値