東北地方の概要

東日本大震災において、津波により甚大な被害を受けたのが、東北地方の太平洋岸に位置する、岩手、宮城、福島の3県だ。関東地方でも茨城、千葉の両県の海岸で大津波が発生したが、東北の3県に比較すれば、被害は小規模にとどまっている。

東北地方は、日本の本州の北東部に位置する6県からなる。面積は6万6951km2で全国の約18%を占める。一方で、総人口は943万人(2010年3月住民基本台帳要覧)で、全国比7.4%に過ぎない。人口100万人を超す宮城県仙台市がこの地方の経済、行政の中心地となっているが、沿岸部では今回の津波により、多くの死者、行方不明者を出した。

北海道に次いで北に位置するため、年の平均気温は低め。春が遅く、夏が短く、冬が長い傾向にある。今年も、3月11日の震災発生以降も気温がなかなか上がらず、降雪もたびたびあった。ライフラインの復旧が遅れる中で、被災者が避難所で寒さに耐える姿が報じられていた。

地形的には南北に配列する3列の山地帯と、3列の低地帯に分かれる。それぞれの地域で異なる景観がみられるほか、交通網や産業の形成にもさまざまな影響を与えている。

東北地方の概要

リアス式海岸という地形の特徴が、津波被害を増大させた

太平洋側の岩手県から宮城県北部にかけての三陸海岸は、多くの狭くて深い湾が連なり複雑な海岸線を持つリアス式海岸が続いている。海岸線近くまで山地が迫り、断崖や巨石など独特な美しい景観がみられることから、北部は陸中海岸国立公園、南部は南三陸金華山国定公園に指定され、多くの観光客を集めてきた。

また、三陸海岸沖には暖流と寒流がぶつかる良質の漁場があり、リアス式海岸の地形を利用した漁港が数多く作られてきた。また、湾の奥ではカキの養殖も盛んで、三陸は世界有数のカキ産地としても知られるほか、養殖用の種カキの輸出にも長い歴史を持ち、欧米で養殖されている先祖のほとんどが三陸産だ。

しかし、リアス式海岸の湾の形は、V字型やU字型で、湾口に比べて奥が狭くなっていることから、津波が発生すると湾奥の中心部に海水が集まり、被害がより大きくなる。

三陸海岸は典型的なリアス式海岸であることに加えて、沖合に日本海溝があり津波を伴う地震が発生することが多い。津波被害を防ぐため、湾口に世界最大級の巨大な防潮堤を築いた地域も多かったが、そのほとんどがマグニチュード9の地震がもたらす津波の前には歯が立たなかった。

東北地方の世界遺産

沿岸部は津波により大きな被害を受けたが、中央部や日本海側はほとんど震災の影響を受けていない。世界最大級のブナの原生林として世界自然遺産に登録された白神山地(青森県、秋田県)は健在。また、震災後の6月には岩手県平泉市の中尊寺を中心とした地域が世界文化遺産に登録され、地元の人々に希望を与えた。