子どもたちの声に耳を傾ける【定松 栄一・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局次長】

国際的NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」事務局次長が、被災地の復興にあたり、子どもたちの声を採り入れた地域づくりを目指すべきだと主張する。

国際的NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」事務局次長が、被災地の復興にあたり、子どもたちの声を採り入れた地域づくりを目指すべきだと主張する。

東日本大震災で被災した小中高生約1万人の9割が「自分のまちのため何かしたい」。子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が実施したアンケート調査から、子どもたちのこんな声が聞こえてきた。

未曽有の大災害に対して行政や市民が力を合わせて救援や復興のために懸命の努力を続けている。しかし、子どもたちのニーズは大人たちから見過ごされてしまうことが多い。例えば、避難所では子どもたちは静かにおとなしくしているように言われ、普段のように大きな声を出して友だちと遊ぶことができない。避難生活においても安心して遊べるスペースを確保することは、子どもたちが日常生活を取り戻していくために大切なニーズだ。

このことは復興段階に入っても変わらない。現在急ピッチで建設が進んでいる仮設住宅は、校庭や公園など子どもたちの遊び場に設置されることが多い。仮設住宅の敷地内に遊べるスペースを確保しないと、子どもたちはますます隅に追いやられてしまう。

子どもたちが自らも地域の復興に関わりたいと言っているのは、そうしないと自分たちの存在が忘れられてしまうのではないかと敏感に感じ取っているからではないか。「大人だけできめないで、子どもたちのいけんもいれてほしい」。アンケートに寄せられた中学1年生の女子の声である。

子どもたちが復興に関わることは地域全体にとっても意味がある。大切な家族や友人を亡くし、それまでに築いてきた生活基盤を破壊されて意気消沈しがちな中で、次世代の地域社会をリードしていく子どもたちが復興に取り組んでいく姿は大人たちをも励ますに違いない。「大人は色々な事で、大変だと思うから、子どもを中心とした、元気を、町の地域の人達にとどける取り組みがしたい」中学1年生の男子がアンケートにこのように答えてくれている。

被災地の復興にあたっては、町や村を「元通り」にするだけでなく、子どもたちにとっても、より安心に暮らせる地域づくりを目指したい。「子どもにやさしい」社会は、きっと「みんなにとってやさしい」社会になるからだ。

定松 栄一

定松栄一
Sadamatsu  Eiichi

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局次長兼事業部長。アフリカ干ばつ救援活動をきっかけに海外援助に関わり始める。その後、ネパールで通算11年にわたり、教育分野で開発協力を実践。2009年2月より現職。