野田新首相の課題【舛添 要一・国際政治学者】

野田佳彦氏が、民主党政権3人目の内閣総理大臣となった。失政を繰り返した2人の前任者の轍を踏まずに、安定した政権運営を行うための課題を挙げる。

野田佳彦氏が、民主党政権3人目の内閣総理大臣となった。失政を繰り返した2人の前任者の轍を踏まずに、安定した政権運営を行うための課題を挙げる。

8月30日、国会で野田佳彦氏が内閣総理大臣に指名された。政権交代から2年が経つ。この間、鳩山、菅と二人の首相が失政を繰り返してきた。

鳩山首相は、沖縄の普天間基地移設問題で、16年間にわたって自民党政権が積み上げてきた成果を反故にし、日米同盟に亀裂を生じさせた。また、菅首相は、3月11日の東日本大震災への取り組みに適切さを欠き、とりわけ原発事故に対する初動措置に失敗した。そして、新しいエネルギー政策の策定にも、国民的合意を十分に得ることができなかった。

震災復興、原発事故対応、日米関係修復……山積する内外の課題

日本が直面する内外の課題は山積している。最大の課題は、震災からの復興、原発事故対応である。これまで、too late, too little であった対策を、スピードアップし、大規模なものにする必要がある。

社会保障制度と税制の見直しも喫緊の課題である。医療、介護、年金などについて、効率化を図るとともに、財源の確保が重要である。景気対策との両立を考えながら、高福祉・高負担か低福祉・低負担かの選択肢を国民に提示するべきときが来ている。

外交については、日米関係の修復が不可欠である。そのためにも、普天間問題解決への政治的リーダーシップが求められている。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加も、日本が国際社会で生き残るために必要である。また、中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど近隣諸国との関係も、領土紛争などで芳しくない。紛争要因を最小限にし、win-win の関係をどうすれば築くことができるのか、ここでも首相のリーダーシップが問われている。

国会の「ねじれ現象」を克服できるか

国会対応については、衆議院と参議院の多数派が異なるという、いわゆる「ねじれ現象」が、政府提出法案の成立を困難にしている。野党の意見にも耳を傾け、与野党間での妥協を模索する必要がある。野田新首相は、その点では、柔軟な姿勢を示している。

野田首相が、鳩山、菅内閣の轍を踏むのか、それとも野党の協力を得ることに成功して安定した政権を築くのか、それは日本の浮沈にも大きく影響する。

(8月30日 記す)

舛添 要一

舛添要一
Masuzoe Yoichi

1948年福岡県生まれ。71年東京大学法学部政治学科卒業。東京大学法学部政治学科助手、パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員、ジュネーブ高等国際政治研究所客員研究員を経て、79~89年東京大学政治学助教授。2001年参議院議員に初当選。07年から安倍晋三内閣、福田康夫内閣、麻生太郎内閣で厚生労働大臣を務めた。現在、新党改革代表。