民主党新代表に岡田氏—党再生に問われる手腕

政治・外交

民主党は1月18日に東京都内で開いた臨時党大会で、海江田万里氏の後任の代表に岡田克也代表代行(61)を選出した。任期は2017年9月まで。岡田氏は“自民党の1強多弱”と言われる政治状況の中、「国会審議の先頭に立つ。経済、戦後70年、安全保障法制を中心にしっかりと議論したい」と意欲を示した。低迷する党の再建を目指し、4月の統一地方選、来年夏の参院選での手腕が問われることになる。

中道路線掲げ、細野氏下す

代表選には岡田氏と細野豪志・元幹事長(43)、長妻昭・元厚生労働相(54)の3人が立候補。国会議員、地方議員、党員・サポーターらによる1回目の投票では過半数を獲得した候補者はおらず、1位の細野氏、2位の岡田氏による決選投票に。国会議員らによる決選投票で、岡田氏がわずかに細野氏を上回った。

1回目の投票では、国会議員票、地方議員票で細野氏がトップに。党員・サポーター票では岡田氏が最大の支持を獲得した。

岡田氏は中道路線を掲げ、代表選の期間中、自らの立ち位置を自民党でハト派とされてきた「宏池会」(現・岸田派)に近いと発言していた。細野氏は安全保障問題などで、岡田氏より保守的なスタンス。長妻氏はリベラル路線を掲げていた。決選投票では、1回目の投票で長妻氏に投票した国会議員の半数以上が岡田氏支持に回った。

政治改革掲げ、自民党離党の過去

新たに党を率いる岡田氏は、1953年7月14日生まれで、三重県四日市市出身。東京大学法学部卒業後、通産省に入り、ハーバード大留学、官房企画調査官などを経て1990年の衆院選に三重1区から自民党公認で出馬し、初当選。当時は竹下派に所属した。

東京佐川急便事件を受けて竹下派が分裂すると、羽田派に所属。政治改革を実現する議員の中心メンバーとして頭角をあらわす。1993年に宮沢内閣不信任案に賛成し、羽田派の議員とともに自民党を集団離党している。

政策通、実兄はイオンCEO

 その後は新生党、新進党などを経て1998年の民主党結成に参画。2004年に党代表に。同年の参議院選挙で民主党は勝利したが、翌05年の「郵政解散」衆院選で大敗し、代表を辞任。09年に鳩山由紀夫氏の党代表就任に伴い幹事長に。同年の総選挙で政権交代を果たし、外務大臣に就任。10年には党幹事長に、12年には野田内閣で副総理として入閣した。

外務大臣としては「アジア非核地帯構想」を提唱。イランの核開発疑惑をめぐり、打開策を探るイランとの交渉を秘密裏に行った。

政策通として知られ、環境から経済、安全保障まで幅広い分野に精通している。父はジャスコ創業者の岡田卓也氏、流通・サービス業大手、イオングループの岡田元也CEO(最高経営責任者)は実兄。

民主党の歴代代表 

1998~99 菅直人 1998年参院選で健闘
1999~2002 鳩山由紀夫 2000年衆院選、01年参院選で議席増やすも、自由党との合併表明で求心力失う
2002~04 菅直人 自由党を吸収する形で合併。2003年衆院選で躍進。年金未納問題で辞任
2004~05 岡田克也 2004年参院選で議席大幅増。05年の郵政解散による衆院選で大敗し辞任
2005~06 前原誠司 偽メール問題による党内の混乱で辞任
2006~09 小沢一郎 2007年参院選で大勝。自らの献金問題のけじめで辞任
2009~10 鳩山由紀夫 2009年衆院選で圧勝し、政権交代果たす。普天間基地移転をめぐる発言で求心力が低下し、自身の「政治とカネ」の問題で辞任
2010~11 菅直人 2010年参院選で敗北。東日本大震災、福島原発事故の対応にあたる
2011~12 野田佳彦 消費税増税を可決。小沢グループの大量離党。2012年衆院選で大敗し辞任
2012~14 海江田万里 2013年参院選で大敗。14年衆院選で自身が落選

2012年の惨敗引きずる民主党

民主党は1998年、新党さきがけを離党した鳩山由紀夫、菅直人と社民党右派議員ほかによる「旧民主党」と、民政党・新党友愛・民主改革連合などが事実上合併して誕生。「行政改革」「地方分権」「政権交代」を掲げ、自民党に対抗する政治勢力を目指した。

2003年には自由党と合併し、衆参合わせて国会議員200人を超す勢力に。小泉純一郎首相の「郵政解散」(05年)による衆院選で敗北したものの、小沢一郎代表の時代は(鳩山、菅との)「トロイカ体制」と呼ばれる挙党一致体制を敷き、09年には鳩山由紀夫代表のもとで衆院選に圧勝、政権交代を果たした。

しかし沖縄の普天間基地移設をめぐる不手際や、小沢・反小沢の党内抗争、小沢グループの離党など一連の混乱で、政府・民主党の支持率は急速に低下。12年の衆院選で記録的な惨敗(解散前の230議席から57議席に)を喫し、今も党勢は回復していない。

タイトル写真:民主党代表選を終え、細野豪志氏(左)と握手する岡田克也新代表(右)。中央は海江田万里前代表=2015年1月18日、東京都千代田区(時事)

民主党