衆院解散:小池新党「希望の党」結党で選挙の構図一変

政治・外交

安倍晋三首相が28日、臨時国会冒頭で衆議院を解散。10月10日公示、22日投開票の日程で事実上の選挙戦に突入した。小池百合子東京都知事率いる新党「希望の党」が誕生したことで、選挙の様相は一変。「自民対希望」の構図が明確になってきた。

民進党、「希望」と事実上合流も

「希望の党」は9月27日、都内で党旗揚げの記者会見を開いた。会見には民進党、自民党などを離党し、結党に参加した国会議員14人が同席した。

「希望の党」結党会見に出席した国会議員

自民党から 若狭 勝 (5月に離党。7月に政治団体「日本ファーストの会」立ち上げ)
福田 峰之 内閣府副大臣
民進党から 細野 豪志 元環境相、党代表代行
長島 昭久 (4月に離党)元防衛副大臣
松原 仁 元国家公安委員長
笠 浩史 元文部科学副大臣
後藤 祐一
鈴木 義弘
木内 孝胤
横山 博幸
旧みんなの党出身 行田 邦子 (参院)
松沢 成文 (参院)元神奈川県知事
日本のこころから 中山 恭子 (参院)元内閣府特命担当相
旧国民新党出身 野間 健

新党立ち上げを巡っては、小池氏側近の若狭勝衆院議員と民進党を離党した細野豪志元環境相が設立に動いていた。当初、小池氏は都知事という立場もあり、新党を“側面支援”する予定だったが、安倍首相の衆院解散の決断を受けて方針転換。「リセットして、私自身が立ち上げる」と語り、国政政党を率いることになった。

同日夜には野党第1党、民進党の前原誠司代表が、同党公認の衆院選候補者を「希望の党」に合流させる方針が明らかになった。民進党の解党も辞さない動きで、野党再編に向けた動きが一気に本格化している。

「希望の党」は2019年の消費税増税見直し、また「原発ゼロ」を掲げて自民党との違いを鮮明にし、安倍政権に不満を持つ層、無党派層の「受け皿」になることを狙っている。小池氏の高い人気も相まって、今回選挙の“台風の目”になることは間違いない。

毎日新聞が27日報じた緊急世論調査(26日、27日実施)の結果によると、現時点での衆院選比例代表の投票先は「自民党」の29%に次いで「希望の党」が18%。「民進党」が8%で、希望と民進を合わせるとほぼ自民に並ぶ数字となる。調査結果は、希望の党が無党派層の有権者を吸収していることがはっきりとうかがえる。

小池氏、衆院選出馬も焦点に

「希望の党」の登場が、今回選挙でどのくらいのインパクトを政界に及ぼすのか。今後は以下の点が注目ポイントとなる。

まず、公示までの限られた時間にどれだけの候補者を擁立できるかだ。若狭氏は国政選挙候補者の発掘の場として9月に政治塾「輝照塾」を開講したが、準備が足りているとはいいがたい。民進党の候補がそっくりそのまま「希望の党」で出馬すれば、「看板を替えただけ」との批判も当然出てくる。

2つ目は、小池代表の去就だ。早くも衆院選出馬が取りざたされている。出馬に踏み切ればメディアの圧倒的な注目を集め、希望の党への「風が強まる」とみる向きもある。一方で、7月に当選したばかりの都知事を投げ出すことは、批判を浴びる可能性もある。

3つ目は、野党共闘の行方だ。共産党は現状、希望の党を「安倍政権の補完勢力だ」として批判しており、昨年の参院選で一定の成果を挙げた「候補者一本化」に向けた動きが難航する可能性が出てきた。

文:ニッポンドットコム編集部

バナー写真:結党記者会見を行う新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事(中央)=2017年9月27日、東京都内のホテル(時事)

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