稀勢の里、第72代横綱に:日本出身力士では19年ぶり

社会

大相撲の横綱審議委員会(横審=守屋秀繁委員長)は23日、東京・両国国技館で開かれ、日本相撲協会から諮問された大関稀勢の里(30)=本名萩原寛、茨城県出身、田子ノ浦部屋=の横綱昇進について審議し、全会一致で「推薦」の答申を出した。

相撲協会が25日午前に開く春場所番付編成会議と臨時理事会を経て、72人目の横綱が誕生する。日本出身力士では、1998年夏場所後の横綱3代目若乃花以来、19年ぶりの昇進となる。

横審の会合は10分ほどで終了。稀勢の里は、昨年11月の九州場所は優勝次点の12勝だったものの、初場所は14勝1敗の高水準で初優勝。昨年、初めて年間最多勝に輝いた実績も評価され、委員から異論は出なかった。

会合後に記者会見した守屋委員長は「過去6場所で安定した実力がある。この後も活躍してくれそうだし、横綱としてふさわしい」と推挙した理由を挙げ、「品格の面をもっともっと磨いて、日本国民全員から敬愛されるような横綱になってほしい」と期待を込めて語った。 (時事)

初場所の千秋楽で塩をまく稀勢の里=2017年1月22日、東京・両国国技館(時事)

2003年からの「日本出身横綱不在」に終止符

1990年以降に誕生した大相撲の横綱

1990年7月 第63代 旭富士 日本
1993年1月 第64代 米国
1994年11月 第65代 貴乃花 日本
1998年5月 第66代 若乃花 日本
1999年5月 第67代 武蔵丸 米国出身(1996年に日本国籍取得)
2003年1月 第68代 朝青龍 モンゴル
2007年5月 第69代 白鵬 モンゴル
2012年9月 第70代 日馬富士 モンゴル
2014年3月 第71代 鶴竜 モンゴル
2017年1月 第72代 稀勢の里 日本

稀勢の里は茨城県牛久市出身で、身長188センチ、体重175キロ。中学校卒業後に入門し、初土俵(2002年3月)からわずか2年8か月(18歳3カ月)で入幕を果たした。2011年11月に大関昇進。長く“横綱候補”として期待されていたが、なかなか優勝に手が届かす、大関として5年以上在位(31場所)してからの優勝、横綱昇進となった。

相撲は日本の「国技」と言われるが、第65代横綱貴乃花が2003年1月に引退して以降、日本出身力士の横綱は不在に。その頃からモンゴル出身の力士が力をつけ、朝青龍や白鵬が一時代を築くとともに、外国出身力士が番付上位に名を連ねた。

2017年初場所(1月)の番付上位

西
鶴竜(モンゴル) 横綱 日馬富士(モンゴル)
白鵬(モンゴル)
稀勢の里(日本) 大関 豪栄道(日本)
照ノ富士(モンゴル) 琴奨菊(日本)
玉鷲(モンゴル) 関脇 正代(日本)
高安(日本) 小結 栃ノ心(ジョージア)
宝富士(日本) 前頭1 御嶽海(日本)
松鳳山(日本) 前頭2 荒鷲(モンゴル)

2006年春場所から2015年九州場所までは、58場所連続で外国出身力士が本場所で優勝を独占。多くの大相撲ファンは、日本出身力士の横綱誕生を心待ちにしていた。

相撲 時事通信ニュース