若者よ!自己の可能性を生かす挑戦を

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大災害に見舞われた日本。世界で発生しているソブリンリスクと第2のリーマンショックの恐れ、失業の増大といった激動の2011年から学ぶべき教訓と今年の課題は何か?

ボランティア活動が生む起業の可能性

大震災と福島原発の事故による未曾有の災害からの復旧にあたって、公的部門は時間を空費してきた。こうした中で、非営利団体による支援活動は今後の日本の姿を示唆している。組織化されていなかった個々人が活動を共にする中で、組織化されていくケースも多い。学生によるボランティア活動も彼らの今後の人生を左右する。重要な教訓は、公的部門がたじろいでいる間に、非営利部門は被災者のニーズを的確に把握して活動してきている。

中古の漁船を寄贈して漁業活動を支援した漁師。被災地の漁港に漁船を寄港させるために、港からネットを通じて、魚介を販売して漁港の活動を支えてきた人。被災者に衣類を配る活動でも、ダンボールに詰め込んだものを配布するのではなく、ハンガーにつるして「お買い物」気分をつけて衣類を配布する古着屋の若者。

こうした活動に共通することは、活動当初は利益はない。しかし、活動が定着していくと活動に関わる人たちの人件費を賄える事業として定着する可能性がある。まさに、起業である。これは高齢化の活用との関連でも注目すべき現象である。

異質な日本の若者の雇用意識

一方で、現状に満足して、変化しようとしない日本の若者がいるのも事実である。The Economist 誌(2011年9月10日)の特集記事、“The great mismatch”は驚愕の内容である。

  • 単純労働力では先進国の雇用がきわめて削減していること。
  • 中間的なスキル、いわゆるホワイトカラーの仕事でルーティン的な仕事も新興国や途上国に移管している。とくに英語圏で顕著である。

世界の雇用が大きく変わる中で、日本は異質である。内閣府による「国民生活に関する世論調査」によると、20歳代の若者の意識には驚かされる。「現在の生活に満足している」とみる20歳代の若者は、1970年代には50%を若干上回っている程度であった。それが2010年には65%以上が「満足」であると意識している。現在の若者の親世代が団塊世代であり、親掛かりで生活できることが一因であろう。こうした中で日本の若者は言語のバリアによって隔離されているようであるが、企業は先を行っている。パナソニックの採用が大部分を外国人にするといった決断は当然であろう。

若者に言いたい。既存の企業や公務員にすがって生きる人生がいいか、非営利組織で学んで地域の中で自分を活かすか、さまざまな道がある。世界のどこでも生きるといった気概がなければ、せめて日本の中で自分の可能性を活かす挑戦に向かって欲しい。 (2012年1月16日 記)