ネオンカラーのファッションが日本の街を彩る

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ピンク、イエロー、黄緑などの蛍光色が街にあふれる

2012年はシャーベットカラーやパステルカラーなど、やわらかな色が好まれ、フェミニンなファッションが流行していた。しかし、2013年に入って、帽子やスカート、スニーカー、アクセサリーなどに、ピンクやイエロー、黄緑といったネオンカラーを取り入れた着こなしが広まっている。ネイルやアイカラーなどのメイクにも使われており、ヴィヴィッドでインパクトの強い色が、街の雰囲気を一変させている。

(c) Japan Fashion Association All rights reserved.

ネオンカラーを見かけるようになったのは2年ほど前から。カラーパンツやアクセサリーなど一部のアイテムでネオンカラーが使われ始め、2012年の春夏コレクション(2011年10月開催)で、「KENZO」や「MARNI」といったブランドがネオンカラーのスタイルを提案していた。

さらには、きゃりーぱみゅぱみゅや西野カナなど、若者に人気の歌手がネオンカラーのファッションをしていることもあり、彼女たちに憧れを抱く女性をはじめ、フェミニンなファッションに飽きた若者を中心に広がり、2013年の夏にブレイクしたと考えられる。

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1990年代にも渋谷、原宿でネオンカラーがブームに

(写真:著者提供)

ネオンカラーとは、ネオン管の発光色をさし、ネオンサインのように輝いて見える蛍光色のこと。元来、識別や危険性の回避などを目的とし、スポーツのユニフォームや作業服、子供の運動靴などの明視性が必要な衣服に用いられることが多い。このような機能性とは別に、ファッションとしてネオンカラーが使われてきたこともしばしばあり、今から約20年前の1990年代半ばにも、渋谷のギャルと原宿の個性的な若者の間で支持されたことがあった。

渋谷のギャルの中でも、ガングロギャルと呼ばれた女性に支持され、黒く日焼けさせた肌に、蛍光オレンジのワンピースやタイトなカットソーなどを合わせて、そのコントラストを楽しんでいた。原宿でも、サイバー系と呼ばれた近未来的なスタイルの若者や、裏原宿系と呼ばれるストリート感覚のスタイルを好む若者たちの間でもネオンカラーのアイテムが支持され、他の世代のファッションとの差を際立たせていた。

全世代への流通が2013年のトレンド

ファッションは20年周期でリバイバルするとされる。2010年代の現在、90年代ファッションへの回帰は、スポーツやワークスタイルの隆盛や、Tシャツにジーンズやショートパンツ、カットソーの多用など、カジュアルなスタイルが復活している点からも確認できる。また、背中や腹の露出や、スキニーなどの身体にフィットしたアイテムが好まれることも共通している。

ネオンカラーの復活もまさに90年代リバイバルだが、当時と異なるのは、今シーズンの流行が、若者だけでなく、子どもやキャリア女性、ミセス層にまでネオンカラーが広がっている点にある。

2000年代に入って、ユニクロやH&Mなどのファストファッションが支持を集め、年齢や体型、経済状況にかかわらず、トレンドを誰でも気軽に楽しめるようになり、ファッションは若者だけが享受するものではなくなった。ネオンカラーも、現在では一部の若者のファッションに見られるものではなく、世代を問わずに共有されつつある。

ネオンの語源は、「新しい」を意味するラテン語の「neos」にある。その名にふさわしく、世代を超えたファッションの流通という「新しい」傾向が、ネオンカラーの流行からも伺うことができるだろう。

(2013年8月14日 記)

きゃりーぱみゅぱみゅ ユニクロ