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もしロシア革命がなかったら露日関係は…:100年後の視点から

ワシーリー・モロジャコフ【Profile】

[2017.12.27]

1917年のロシア革命から100年が経った。ロシア国内では革命の原因や性質、その影響などについて、再び際限のない議論が繰り広げられている。歴史学者の間だけではない。一家言ある人なら、誰もが持論を展開している。しかし、議論の中身は昔も今も同じである。つまり革命を「支持するか」それとも「反対するか」、ロシア革命は善なのか悪なのか?という争いだ。

100年前の当時、もちろん日本も影響を受けている。ロシア革命は世界を大きく揺り動かした大事件なのである。その後誕生したソビエト連邦を通じても、革命は全世界に影響を与え続けてきた。

ロシア革命が露日関係に及ぼした影響を考える中で、ある重要な出来事が見過ごされることが多い。前年の16年夏に締結された両国間の軍事・政治同盟(第4次露日協約)は革命によって決裂し、効力を発揮するチャンスすら与えられないまま過去のものとなってしまった。

この協約は、150年以上にわたる両国の関係が最も良好だった瞬間の、露日関係のハイライトともいえるものだった。単に平和、中立、協力関係が約束されたということだけではない。政治面のみならず、軍事面でも相互に義務を負うというものであった。軍事的な義務は、両国が世界大戦で同盟国であったことによるとされているが、実はそれだけではなかった。当時の世界情勢に後押しされたという側面が強いことも確かだが、ポーツマス平和条約締結の後、敵同士であったロシアと日本は、わずか11年の間に「軍事同盟関係」を結ぶレベルまで信頼を深めていったのだった。

ロシア革命を報じる日本の新聞

では、もしロシア革命が成功に至らず、この協約が継続していたとしたら、国際政治にどのような影響を与えていただろうか。今となってはあくまで仮定の上での想像でしかないが、極東と北東アジアのパワーバランスを大きく変化させ、中国の運命にも影響を与えていたことであろう。さらに重要視すべきことは、協約が継続していれば、日露戦争により両国間に生まれつつあった敵意と不信感が払拭されていたのではないかということである。

このように考えていくと、もし革命が起きずにこの協約が続いていたなら、ロシアと日本は第2次世界大戦の最後の段階で戦火を交えることはなかっただろうと思えてならない。両国は、競争関係にあったかもしれないが、戦争にまで至ることにはなかったはずだ。それもひとえに当時の政治家たちが話し合いを重ね、友好を深めていくことに長けていたからだ。彼らはそのために必要な意欲と政治力を充分に兼ね備えていた。

露日協約はロシア革命によって完全に破壊された。しかし、これはロシア革命による数多くの悲劇的な影響の一つに過ぎない。ロシアは革命によって、それよりもずっと恐ろしい影響をいくつもこうむっている。ただ露日関係にとっては、これは疑う余地のない後退であり、今日もその影響は克服されていない。

今後も、失われたものが元どおりになることは恐らくないだろう。そしてロシアと日本の間に、今後、新たに同盟関係が結ばれることも恐らくないだろう。しかしながら、友好を深め、協力を進めていくことを学んでいかなければならない。

最近、安倍首相とプーチン大統領の首脳会談をはじめ、さまざまな枠組みで両国の協力が議論されるようになった。抽象的な政治の話ではない。具体的な相互協力の中身が話し合われている。露日関係には、明るい展望も見えてきつつある。具体的な協議の先には、同じように具体的な結果が私たちを待っていると心から信じてやまない。

バナー写真: ロシア革命の象徴のひとつとされる防護巡洋艦アヴローラ 1917年。革命時は、冬宮(現エルミタージュ美術館本館)を砲撃、革命の勝利に貢献したとされている。出典:ロシア・ソビエト海軍アーカイブ

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  • [2017.12.27]

拓殖大学日本文化研究所教授。1968年モスクワ生まれ。1993年モスクワ国立大学卒業、1996年同大学博士課程修了。歴史学博士(Ph.D., モスクワ国立大学、1996年)、国際社会科学博士(Ph.D.,東京大学2002年)、政治学上級博士(LL.D., モスクワ国立大学、2004年)。2000~2001年、東京大学社会科学研究所客員研究員。2003年、拓殖大学日本文化研究所主任研究員。2012年より現職。ロシア語で著書30冊以上、そのうち日本に関するもの15冊。日本語での著書に『後藤新平と日露関係史』(藤原書店、2009年)、『ジャポニズムのロシア』(藤原書店、2011年)。

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