台湾から日本に“輸出”される「環島」——新たな日台サイクル交流の誕生

野嶋 剛【Profile】

[2017.12.07] 他の言語で読む : 繁體字 |

スポーツと観光を兼ねた国民的なアクティビティとして台湾ですっかり定着している「環島」を、日本に対して「輸出」する動きが本格化している。四国一周や琵琶湖一周などのコース作りが各地で始まっており、日本と台湾の関係にサイクリングを通した新しい交流方法が生まれようとしている。

「環島」とは主に自転車で台湾を一周することだ。一周はおよそ900キロから1000キロ。その距離を1週間から10日をかけて走る。台湾では、世界最大の自転車メーカー、GIANTや財団法人「自転車新文化基金会」の主導の下、10年ほど前から環島のプロモーションが展開されてきた。外国人の関心も高まっており、年に1度開催される環島イベント「Formosa900」は参加者の6割が日本単独チームも含む外国人だった。

実は私も、この10月に生まれて初めての環島に参加している。8泊9日の日程でまずは台中から出発し、嘉義、高雄、屏東、台東、花連、宜蘭などに泊まりながら、サポートしてくれた旅行会社「ジャイアント・アドベンチャー」のおかげもあって、無事に完走することができた。

1日に走る距離はおよそ100キロ。向かい風の日は足に震えがくるほど疲れる。毎日毎日、ひたすら漕ぎ続けるのも辛い。しかし、大勢の仲間たちとチームで走っているので、なおさら脱落するわけにはいかない。「不要放棄(あきらめない)」と自分を励ましながらペダルをこぎ続けた。

台湾でサイクリングは国民的娯楽

サイクリングは、観光や健康、エコなど、日本の自治体にとっても複合的な目的を兼ね備える。市民からも喜ばれ、インバウンドの活性化にもつながる一石二鳥、一石三鳥の潜在力を秘めたプロジェクトになる。

サイクリングによる環島スタイルの観光振興は台湾ですでに10年ほど前から本格的に進められ、自転車道「環島1号線」など多くのインフラが整っており、年間数万人が楽しむ国民的な娯楽となっている。

環島出発地としてはこれまで台北市が主体だったが、GIANTなど自転車メーカーが数多く本社を置く台中市が環島の始発着点として名乗りを上げており、今回私が参加したチーム「追風騎士団」の環島出発式も台中で、式典会場には、林佳龍台中市長がわざわざ駆け付けた。

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  • [2017.12.07]

ニッポンドットコム・シニアエディター。ジャーナリスト。1968年生まれ。上智大学新聞学科卒。在学中に、香港中文大学、台湾師範大学に留学する。1992年、朝日新聞入社。入社後は、中国アモイ大学に留学。シンガポール支局長、台北支局長、国際編集部次長等を歴任。「朝日新聞中文網」立ち上げ人兼元編集長。2016年4月からフリーに。現代中華圏に関する政治や文化に関する報道だけでなく、歴史問題での徹底した取材で知られる。著書に『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『故宮物語』(勉誠出版)等。オフィシャルウェブサイト:野嶋 剛

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