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台湾で根を下ろした日本人シリーズ:毎日がスタートライン——タレント・夢多(大谷主水)

馬場 克樹【Profile】

[2018.03.10]

夢多

夢多Mondo1980 年7月18日生まれ。本名は大谷主水(おおたに・もんど)。元テコンドー日本代表としての経歴を持ち、2006年から台湾現地の映画やテレビコマーシャル、ドラマなどに多数出演する。16年、映画『人生按個讚』ではアクション監督を担当し、同時に台湾三菱重工のイメージキャラクターにも採用された。現在、日本や台湾で放送中の「夢多(モンド)のディスカバー東九州」「夢多(もんど)の宮崎&台湾 行きタイワン!」「地球の慶典」でMCを担当中。

かつて日本国内の大会では連戦連勝の活躍で、高校2年生にしてテコンドーの日本代表入りを果たし、国際競技会にも度々出場するなど、将来のオリンピック代表を嘱望された宮崎県出身の選手がいた。それから20年後の現在、彼は活動の舞台を台湾の芸能界に移し、視聴率トップを誇る旅グルメ番組のリポーター、バラエティー番組のレギュラー出演者として、またモデルや俳優、武術指導者として、活動を縦横無尽に繰り広げている。日本のトップアスリートだった大谷主水が、日本出身の台湾のタレント「夢多(Mondo)」として、どのように転身を遂げ、展開し、これから何を目指しているのか。台北のトレンド発信地「東区」のカフェでじっくりと話を伺った。

提供:夢多

17歳でテコンドーの日本代表になり、テコンドーを通して台湾と関わる

大谷は子供の頃からやんちゃだった。しかし、正義感が強く、ケンカもめっぽう強かった。同じ学校の同級生が他校の生徒からいじめられると、自ら敵討ちを買って出るような少年だった。そんな大谷少年がテコンドーと出会ったのは、異種格闘技の試合をテレビでたまたま見たことだった。

「テコンドー出身の選手が出場していたのです。彼は試合には負けたのですが、何より闘う姿が美しかったことに引かれました。もともとブルース・リーやジャッキー・チェンに憧れていたこともあり、実家の近所のテコンドー道場に通い始めました」

道場での稽古の初日、上級者からいきなりスパーリングで徹底的にしごかれた。全く歯が立たず、悔しさとともに自分が井の中の蛙(かわず)だったことを知る。しかし、ここで持ち前の負けず嫌いの性格が頭をもたげ、強くなりたい一心で大谷は練習に没頭することとなった。その後はめきめきと頭角を現し、中学3年生の時にテコンドーの全日本ジュニア選手権で優勝すると、高校時代も破竹の勢いで全国大会を制した。そして、弱冠17歳にしてテコンドーの日本代表入りを果たした。

初めての国際大会となった1998年のアジア選手権ベトナム大会の1回戦では、世界ランキング3位のフィリピンの選手と対戦した。左足を負傷しながらも善戦したが、結果は敗退。カメラの前で号泣した大谷は、日の丸を背負う重さをこの時に理解した。その後、テコンドーの名門、大東文化大学に推薦入学すると、大学選手権4連覇を果たし、もはや国内では向かうところ敵無しだった。しかし、世界の壁は依然として大谷の前に立ちはだかる。2001年のワールドカップベトナム大会では、1回戦で世界選手権3連覇中の韓国の選手といきなり対戦。自分の不用意な仕掛けからカウンターのハイキックをあごに受けて流血、結果はまたも初戦敗退だった。

「自分に対して怒りが込み上げました。国内無敗だったことに慢心していたのです。韓国のあの選手に勝ちたい。オリンピックで金メダルを取りたい。自分の心に再び火が付きました」

ところで、全米オープンの国際大会に出場するため、ラスベガスに向かう機中で大谷は偶然、台湾の代表選手団と隣り合わせになる。台湾は独自のスタイルを貫くテコンドーの強豪国だ。ところが、機内で乗り合わせた台湾の選手たちは、これから国際大会に向かうというのに緊張感とはまったく無縁で、和気あいあいとしていた。普段は陽気だが、試合ではめっぽう強い台湾選手に大谷は興味を持った。米国から帰国すると、日台双方のオリンピック委員会のルートを通じ、台中の台湾体育学院へのテコンドー留学が決まった。こうして大谷と台湾との縁はつながった。04年のアテネオリンピックの前年のことだった。

提供:夢多

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  • [2018.03.10]

シンガーソングライター。1963年仙台市生まれ。国際交流基金日中交流センター事務局次長、財団法人交流協会台北事務所文化室長を歴任。退職後、2013年台湾で蒲公英音楽交流有限公司を設立。「八得力(Battery)」でボーカルとギターを担当。ソングライターや俳優としても活動する。代表曲には映画『光にふれる(原題:逆光飛翔)』の主題歌で、台湾金曲奨最優秀女性ボーカリストの蔡健雅(タニア・チュア)が歌った「很靠近海(海のそばで)」がある。プロフィール写真撮影=Jonny Wei

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