イベントリポート

冬至の意味を考える

文化

2011年12月2日から2012年2月14日まで、無印良品の有楽町アトリエムジの主催で「冬至祭」が開催中だ。共催は、多摩美術大学芸術人類学研究所(IAA)。「むすぶ」「めぐる」「つなぐ」の3テーマから「冬至」の意味を考える。

2011年12月2日から2012年2月14日まで、無印良品の有楽町アトリエムジの主催で、「冬至祭」が開催されている。共催は、多摩美術大学芸術人類学研究所(IAA)。会期を三つに分け、それぞれに「むすぶ」、「めぐる」、「つなぐ」というテーマを設定して、冬至の意味を考えていこうというものだ。

新しい年を迎えるための祭

第1部(12月2日~25日)では、クリスマスなど世界中で年末に行われる祭の起源を冬至に探る展示が行われた。展示スペースには、白いロープを編み上げて作った2本の樹木が“生えて”いる。ロープの根元が幹となり、その枝が天井まで届くというインスタレーション作品だ。制作したのは、衣服とテキスタイルによるインスタレーション作品を国内外で発表している眞田岳彦(さなだ・たけひこ)さん。クリスマスが行われる以前からヨーロッパでは冬至の時期に祭りがあり、特にケルト文化ではヒイラギが聖なる木として崇められた。眞田氏はそうした冬至祭の象徴としてこの作品を作ったという。展示期間中には、来客者に白い短冊を渡し、それぞれの願いを書いてロープの枝にむすびつけて、一緒に樹木を育ててもらいたいという。

IAAの教授でケルト文化に詳しい鶴岡真弓(つるおか・まゆみ)さんは、「冬至という1年で最も太陽の光が地上を照らす時間が短くなる日を境にして、季節は新しい生命を育む春へ近づいていきます」と言う。

「そうしたことを熟知していた古代人は、冬至の日を古き年と新しき年の『むすび』の日だと考えていました。特にケルト文化では、生命の再生の祝祭として冬至祭を祝ってきました。暗い冬の底で、生命のシンボルである常緑樹のヒイラギを飾り、ご馳走を食べ、新しい年の収穫を祈りました。

これは正月に門松を置き、室内には常緑で赤い実をつけるセンリョウやナンテンを飾る日本の風習とよく似ています。国や文化が違っても、自然と人との関係は共通する部分が多いようです。

3.11以降、生活に対する価値観が大きく変わり始めています。私たち現代人が忘れてしまった、自然と人がむすび合うことの意義を、このイベントを通じて感じとってもらいたいものです」

第2部(12月27日~1月10日)では年送りや年迎え、第3部(1月12日~2月14日)では春迎えと冬至との関係を探る展示が予定されている。